現場に登頂すると、登山用の装備とは思えない軽装の若者6人が倒れていた。けがをしている2人の応急処置を行い、救急隊に彼らを優先的に病院に搬送するように伝えるが、その時に別の若者が「息ができない」と苦しみ出した。
どうやら岩で胸を強打したらしいが、どう処置していいのか分からず困っていた宮本の前に、1人の男が現れる。その男性は適切な処置を行い、宮本はただ彼の指示に従うことしかできなかった。
「山を舐めているからこういうことになるんだ。死んだって誰も同情しないぞ」と、若者たちにきつい言葉を投げかけたこの人物が、国際山岳医としての資格を取得し、海外での活動経験もある山岳医・江森岳人(大森南朋)だった。
初日から未経験のことが多く、宮本は松澤に「どうして自分なんですか?」と、山岳診療科と兼務する理由を聞くが、「あなたにしかできないと思ったのよ」と返ってくる。
そこに現れた江森は、「現場に俺がいなかったら搬送する患者の順位を誤って、死人が出てたところだぞ」と宮本にきつい言葉を投げた。
宮本が退出した後、江森が松澤に「あいつに何を期待してる?」と聞くと、「必要なの。地域医療には彼のような医師が」という返事が。「そうは見えないけどな」と江森は呆れた様子だったが、「まだ知らないでしょ。彼のこと」と松澤は、宮本に秘めた力、能力があると言いたげな返事をした。
第1話は、“山岳医療科”に始まり、山岳医療チームMMT(マウンテン・メディカル・チーム)が誕生する経緯が描かれている。
チームのメンバーは、宮本、麻酔科医の村松、山岳看護師・鮎川、救命救急医・小宮山、循環器内科医・掛川、オペ看護師・平の6人。
村松は麻酔科医として働いているが、実家の内科クリニックを継がなければいけないという悩みを抱えている。山岳看護師・鮎川は、実家が山荘を経営しているが、過去に嫌な思い出があり山が好きではなくなった。そんなふうにそれぞれが悩みを抱えていた。
宮本も、医師を目指して医大に通っていた兄がいたが、一緒に登山した時に遭難してしまい、“兄の代わりに”医師になることを目指した。兄との約束。そのために医師になった宮本だったが、松澤に「あなたのお兄さんは本当にそんなこと望んでるかしら。彼は後ろを振り返ったりしなかった。前だけを見つめて患者のことだけを考えていた。向き合う相手を間違えないで」と言われ、ある患者と向き合ったことで気付くことができた。
「やっと分かったよ。俺もなろうと思う。俺にしかなれない医者に。いつでも患者のそばに寄り添える医者に」。
“兄のように”“兄の代わりに”という呪縛から解放された宮本は、国際山岳医としての資格を取得することを決意し、「休職届」を出した。
1年間の留学から宮本が帰ってきた。そして、用意されていた山岳医療チームMMTに加わることとなったが、そこに江森の姿はなかった。経験を積んだ宮本がMMTでどのように人命を救っていくのか。そして、江森はどのように関わってくるのか。新たなる展開に期待したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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