院長の前では調子のいいことばかり言っていたリーダーの小宮山だったが、実際は山岳医療に否定的で、副院長の座を狙っているから仕方なく院長の言うことを聞いているという感じ。院長がいなくなった瞬間に、「あとは頼んだよ」と週一回の山岳診療を宮本に押し付けるなど、MMTの活動へのモチベーションが低く、全てにおいて消極的。
小宮山だけでなく、掛川も「紫外線が…」と言って、山小屋での泊まり込み診療を回避しようとするなど、小宮山同様、消極的な態度を見せた。
村松も「山岳診療で麻酔科医がやることある?」と言ったり、「山登るのめんどくさい」と言ったり、MMTの存在をあからさまに否定はしないが、ここに自分は必要ないんじゃないかと暗にアピールする。
小宮山や掛川の考えは、山に行かなくても、運ばれてくる患者を病院の中で治療すればいい。それによって「山での死者ゼロ」という目標も達成できるというもの。
しかし、宮本と村松が山小屋診療のために山に登った週末に、そうも言ってられない出来事が起きた。山に来た母と息子の2人連れが、登っている途中で母親が足を滑らせ傾斜を転がり落ちた。息子も母を助けようとしてけがをしてしまった。
天候の悪化が予測できるため、ヘリを飛ばすことができず、母親は低体温症を発症していて下山して病院に連れて行くことは危険が伴うため、山小屋で母親の手術を行うことに。
開腹手術を行うために必要な道具を持ってきてほしいとお願いされた鮎川だが、もう暗くなる時刻で危険もあるということで院長も江森も反対した。しかし、鮎川は「もう山で命を失いたくないんです!」と懇願。松澤もその熱意に負けて許可する。
手術に適しない場所、山小屋で母親のオペを成功させた宮本。第1話は、宮本自身がどんな医者になりたいのかも分からない状況で、いわば“序章”的な物語だった。
そこから留学し、国際山岳医の資格を取り、MMTとして再スタートを切った第2話こそが始まりの章。第1話の時とは違い、山岳診療で登山の時の呼吸法を患者に教えたり、山で滑落した母親を助ける時にはロープを使って急勾配の斜面を降りていったり、山小屋での手術でも冷静さを失うことはなかった。
宮本の成長と活躍に視聴者もワクワクさせられたことだろう。とはいえ、宮本自身が「まだまだ勉強中の身ですから」と言っていた通り、完璧ではないし、課題はある。先に下山させた息子の高地肺水腫に気付けず、江森に「お前は山の医者になりたいって言ってたが、山岳医になったからって過信するな。今のお前はまだ“ただの山好きの医者”だ」と言われてしまう。
しかし、今回の件で鮎川の思いが分かり、村松も山岳診療に麻酔科も必要だということを知ったというのはMMT、そして宮本にとって大きなプラス材料になったはず。まだ“チーム一丸”というわけにはいかないが、MMTの形が少し見えた回となった。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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