吉永小百合、渡哲也ら“銀幕のスター”が戦後日本の愛や人生のドラマを映し出す

2024/08/07 18:00 配信

映画 コラム 動画

「愛と死の記録」(C)1966年日活株式会社

CS放送「衛星劇場」では、8月に「終戦79年 映画に見る戦後の日本」と題して終戦間際や戦後を舞台にした映画を特集放送する。完全版としてテレビ初放送となるドキュメンタリー映画「広島・長崎における原子爆弾の影響」のほか、吉永小百合浅田美代子らによる全9作がラインアップ。そこで今回は“銀幕のスター”と呼ばれた俳優陣の魅力に迫りながら、各作品を紹介していく。

“銀幕のスター”とは


かつて映画館の映像を映す幕=スクリーンの一種で、映像を鮮明に映すために銀の素材を使ったものを「Silver screen(銀幕)」と呼んでいた。初期のサイレント映画時代から用いられていたというが、そこから映画自体を銀幕と言ったり、映画に出演するスター俳優のことを“銀幕のスター”と称するようになった。

銀幕のスターたちは雲の上の存在でありつつ、作品の中ではさまざまな役を通して、感動をもたらしてくれた。

79回目の終戦記念日を迎える8月に放送される今回の特集では、映画の黄金期でもあった1950年代~70年代にかけて制作された銀幕のスターが出演する作品がそろう。彼らが演じるのは、戦後の日本で生きる人々だ。

岸惠子と佐田啓二が夫婦役に


8月11日(日)昼11:00ほか放送の「あした輝く」(1974年)は、里中満智子の同名漫画を原作に、浅田美代子主演で、終戦末期の満州(中国)から戦後の混乱期の日本を舞台に一つの愛を貫いた女性の半生を描く。浅田は本作の前年にドラマ「時間ですよ」の第3シリーズでデビューして一躍脚光を浴びたばかり。初々しさを残しつつ、ほのかな恋をする16歳から母として強く生きる20代前半までの波乱に満ちた日々を丁寧に演じた。

8月12日(月)昼11:00ほか放送の岸惠子佐田啓二による「亡命記」(1955年)。2人は1953~1954年に公開された3部作映画「君の名は」が大ヒットし、押しも押されもせぬ銀幕スターとなっていた。「君の名は」のドロドロ劇においてまさに美男美女で見る者を引き付けた2人。本作では戦後初の香港ロケを行いながら、岸が日本人女性、佐田が中国人男性に扮(ふん)し、演技力の高さで戦争によって翻弄(ほんろう)される夫婦の機微を見せる。