キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。2012年に全20話が放送された大人気ドラマシリーズである同作は、朝鮮王朝の架空の時代に繰り広げられる宮中ラブストーリーを描いた作品。第6話ではヒロインであるホ・ヨヌ(子役:キム・ユジョン)を失った悲しみから衝突する異母兄弟、そして月日が流れて王となったイ・フォン(子役:ヨ・ジング)の決断が描かれた。(以下、ネタバレを含みます)
多くの者を悲しみに暮れさせたホ・ヨヌの訃報、そしてその遺体を収めた棺の埋葬がおこなわれた。両親であるホ・ヨンジェとシン氏、兄のホ・ヨム(子役:イム・シワン)が参列している葬儀。それをヤンミョングン(子役:イ・ミノ)は遠巻きから眺め、そして彼女の死という事実を前に膝から崩れ落ちるのだった。
一方、ソンジョ(アン・ネサン)に仕える外戚派の首魁ユン・デヒョン(キム・ウンス)は、カンテクの際にホ・ヨヌと競り合ったユン・ボギョン(子役:キム・ソヒョン)へ別宮に入る準備をしろと告げる。ホ・ヨヌの訃報を知ったユン・ボギョンは、父たちがホ・ヨヌを殺したことを言外に悟った。そしてその上で、彼女は両親の教えどおりの考えに従うことを決意する。
ホ・ヨヌの最後の言葉を思い返しながら、涙に沈むイ・フォン。彼の前に現れたのは、宮廷に戻ってきていたヤンミョングンだった。両者とも涙で目を腫らしながら少しの間だけ沈黙したまま見つめあっていたが、イ・フォンはホ・ヨヌの兄であり自分の勉強の師であるホ・ヨムを気にかけて言葉を紡ぐ。彼の友人であるヤンミョングンへ「ホ文学のようすはいかがですか?」と問うのだが、ヤンミョングンは答えない。
しかし続けて、イ・フォンが「ピン宮(ピングン、世子の正室を指す)の最期を兄上も見守ったのですか?」と質問するとヤンミョングンのようすが変わる。「なぜご関心が?なぜ世子様が質問なさるのですか?」と問い返すヤンミョングン。戸惑うイ・フォンに、兄の言葉は続く。「ヨヌが追放される時に手を施しましたか?」「生死の境にいる時、何をなさいましたか?」激情のまま刺すような言葉を投げかけるヤンミョングンに、イ・フォンは「やめましょう」と促す。
だがホ・ヨヌとの未来を諦め、イ・フォンに託したつもりだったヤンミョングンの感情は収まらない。「ホ・ヨヌが冷たい土に埋められる時も、その父親と兄が危機の今も何もできないくせに…」と怒るヤンミョングン。「兄上!!」と言い返すイ・フォンだったが、それすら遮るようにヤンミョングンは言葉を重ねる。
「すべて得たはずです!王様のご愛情も大提学の忠誠心も、ホ文学の義理も手になさったでしょう」と、見たこともない剣幕のヤンミョングン。「1つくらい…私に譲ることはできませんでしたか?唯一の女でした…切実に思っていました。それでも私には許されなかったのですか?私なら――守りました。この命を懸けてでも守り抜いたと思います。世子様は――守れませんでした」と怒りと悲しみに満ちた表情で言い切ると、ヤンミョングンは背を向けて歩き出す。「来世では譲りません。来世では必ず私が守ります」と、心中で固く誓いながら。
チャン・ノギョン(チョン・ミソン)は、大王大妃(テワンテビ)・ユン氏(キム・ヨンエ)と謁見していた。チャン・ノギョンはホ・ヨヌ殺害の手腕に対する称賛を受けつつ、ユン氏にしばらくの間星宿庁を離れる意思を明らかにする。「人命を左右する呪術は本来禁忌なのです。今回の件により体力と霊力が尽きたため、自然に触れて心身を浄化させてきます」と語るチャン・ノギョンに難色を示すユン氏だったが、仕方なく了承することに。
そして夜、チャン・ノギョンとホ・ヨンジェは墓場を掘り起こそうとしていた。「急がないと薬効が切れます」と慌てるチャン・ノギョンに急かされたホ・ヨンジェは、その姿を墓参りにやってきていたホ・ヨヌの元従者・ソル(子役:ソ・ジヒ)に見つかりながらも棺を掘り起こすことに成功する。
棺のなかにいたのは、死んだはずのホ・ヨヌ。なぜか息を吹き返した彼女は意識を取り戻しており、気が付けば暖かい布団の中で眠りについていた。実はホ・ヨンジェたちが飲ませた薬によって、仮死状態にさせられていたホ・ヨヌ。呪いから免れるためとはいえ危険な橋を渡ったホ・ヨヌは、目を覚ますと記憶を失っていたのだった。
そんなホ・ヨヌに、チャン・ノギョンは彼女が巫女であると告げる。神降ろしの際に気絶し、今気が付いたのだと説明を重ねる。守護神が強すぎたため記憶を失ったことも付け加えると、これからは自分を神母(神降ろしをしてくれた巫女)だと考えるように促すチャン・ノギョン。過去との縁を切り、巫女の道を生きさせる神の思し召しだと告げられたホ・ヨヌは、涙を流しながらうなずく。
時は流れ、イ・フォン(キム・スヒョン)は成人を迎える。ヒョンソンは変わらずイ・フォンのそばに仕えており、彼を支えていた。小雨に降られながら微笑むイ・フォンは、良い天気だからと打球(ダグ、ゴルフのようなルール)をしようと言う。
承政院の臣下たちを集め、打球に興じるイ・フォン。一緒に参加していた臣下が先に穴へと球を入れると、イ・フォンは素直にそれを称賛する。ここの穴は他よりも少しだけ大きいと語る臣下に王宮内で最も大きな穴は知っているかと問うと濁されてしまう。そんな臣下に、イ・フォンはそれまでの笑みを消して、自分が案内すると語る。
保管されていた書類の箱を開くと、上訴と書かれた書状をいくつも拾い出して読み上げていく。ただ同然で極寒に耐えている、税を代払いして返済が遅れると土地と娘を奪う領主がいる…などいくつもの上訴が届いていたが、それは一向に王となったイ・フォンに届くことはなかった。
「なぜ私に報告しないのだ?」と問うイ・フォンに、臣下たちは「検討してからに…」「たわいもないものなので…」としどろもどろ。これに対してイ・フォンは、王宮内で最も大きな弊害だと指摘したうえで「承政院こそが――民衆と私との疎通を阻む、最大の穴なのだ!!」と激昂してその場を後にする。
しかし叱責を受けた承政院の臣下たちは、別室へ移動して「お偉くなったものだな」と王を軽んじる言葉を吐く。大王大妃(テワンテビ、ユン氏)の国政代行が終わり、王になったばかりなのに指摘ばかりする…と自分たちのおこないを恥じてもいなかった。
また話題が王妃であるユン・ボギョン(キム・ミンソ)との子作りが進まないことにも及ぶと、一計を案じることに。「イ・フォンの身体の不調の原因が政務にある」と理屈立てて、イ・フォンへ療養に出かけてはどうかと提案したのだ。
しかしその提案を受たイ・フォンは、彼らの意図を見透かしていた。事細かに要求を跳ねのけたうえで、ユン氏から同様の提案を受けても承諾しない。「政務は延ばせますが子作りはもう待てません」と言われるが、イ・フォンは言葉巧みにかわしていく。そして隣にいた王妃ユン・ボギョンが「私の徳と誠意が足りず」と子どもができないのは自分の責任だと謝罪する。
自分の頼みを軽視するのならば仕方がないと憤り、食事を抜いて死を待つと宣言するユン氏。部屋に戻って悩むイ・フォンの耳に、ユン・ボギョンがユン氏の部屋の前で座り込んで決断を変えるようにと懇願しているという報せが届く。
屋外で座り込み、懇願を続けるユン・ボギョンのもとへと向かったイ・フォン。しかしイ・フォンは立たせたユン・ボギョンに、耳元で「大王大妃(テワンテビ)様と領議政を動かせるとは…よい後ろ盾を得たな」とささやく。さらに「婚礼時に言ったはずだ。もう1度言おう…そなたとその1門は望みをかなえるだろうが、私の心までは望むな。絶対に得ることなどできないのだから」と続け、部屋へと戻っていく。笑みと怒りをたたえたイ・フォンは、幼い頃とはまったく異なる表情をしていた。
ある夜、イ・フォンは悪夢にうなされていた。ホ・ヨヌが亡くなる日の最期の言葉、ユン氏から受けたイ・フォンを責める言葉、ホ・ヨヌを思うがゆえに放たれた尊敬する兄からの厳しい言葉――それらがイ・フォンに悪夢を見せていたのだ。イ・フォンに仕えていたキム・ジェウン(ソン・ジェリム)は、彼を案じながらその傍についているしかないのだった。
第6話では、ホ・ヨヌを失ったものたちの悲しみがぶつかり合う場面のほか、月日が流れて王となったイ・フォンが収める宮廷のようすが明らかに。イ・フォンは王として、先王ソンジョと同様に厳しい面と優しい面をあわせ持つ姿が描かれた。
年月が経った演出として俳優陣の交代もあった第6話。精悍なキム・スヒョンが演じるイ・フォンのこれからに期待が高まると同時に、すでに四面楚歌状態に見える現状をどう打破するのかに注目したい。
月日が流れ、さまざまな思惑が交錯するだけではなく、物語の展開が大きく動いた「太陽を抱く月」。Huluにて全20話が配信中だ。
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