柄本佑が吉高由里子の演技を絶賛「もうシルエットから何からまるっきり紫式部で、本当にすごいなって」<光る君へ>

「光る君へ」第7回より(C)NHK

大石さんからの挑戦状だと受け取って演じています


――大石さんの脚本のすごさや、台本に書かれている「…」やト書きの演じ方を教えていただけますか?

大石さんの脚本は「…」が多いですが、そこには「…(~な気持ち)」というふうに方向を示してくれていることが多いんです。なので、単純に「…」が多いというよりは、ちゃんと注釈として“こういう気持ちでいる”ということを書いてくださっているので、僕らも挑戦しがいがあるというか。

中には“このト書き、どないせいっちゅうんじゃ!”みたいなものも結構あったりするので(笑)。それはもう大石さんからの挑戦状だと受け取って演じていますね。最初の頃は、まひろと“目が合って心で会話をしている”みたいなものも多かったです(笑)。

――以前、「黙っている時間こそ大事にしている」というようなお話もされていましたよね。

そうですね。それは多分、大石さんが感じられているところでもあると思いますし、僕らもせりふをしゃべっていないところをどういうふうに過ごすかって非常にやりがいがあるところでもあったりするので、頑張らせていただいています。

「光る君へ」第31回より(C)NHK

ちょっと気を抜いたら道長がタジタジになってしまうくらいの強さですね(笑)


――「知らなくていいコト」(2020年日本テレビ系)でも吉高さんと共演されていましたが、改めて吉高さんのすごさを教えていただけますか?

やっぱり懐の深さといいますか、まひろと道長のやり取りのシーンで、すごく長いシーンが何度か出てきたりするのですが、そういうシーンは吉高さんに引っ張っていただいているなと感じています。

先ほどお話したような大石さんが書かれる「…」のところとかも“こういう表情をされるんだ”みたいな新たな発見があって、“それだったら道長はこういう表情になるかな”みたいな。もちろん大石さんが導いてくださっているところもあるのですが、それがさらに具体的になるとまた新たな発見みたいなものがあるので、二人の長いシーンでは本当に導かれているなというか、大きい存在だなと思っています。

それと、ドラマの撮影が始まって1年ちょっと経過しましたが、いよいよこれからまひろが内裏に上がって「源氏物語」を書きます。今まさにその「源氏物語」を書いているシーンを撮っているのですが、めっちゃ紫式部ですよ(笑)。

最初に見たときが内裏での立ち姿で、それがまたスッとしていて衣装の着こなしも非常に美しいなと思ったのですが、それ以上に驚いたのが、まひろが物語を書いているところに道長が行くっていうシーンがあって、撮影前に段取りでスタジオに入ったら、吉高さんが衣装のまま座って筆の練習をしていたんです。それを見た瞬間に“え、式部じゃん!”って(笑)。

もうシルエットから何からまるっきり紫式部で、本当にすごいなって思いました。まひろも本気で「源氏物語」に取り掛かるので、その表情や目線などの芝居のやり取りをしているときは、ちょっと気を抜いたら道長がタジタジになってしまうくらいの強さですね(笑)。とってもすごいことになっていると思うので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

――まさに紫式部にそっくりな吉高さんを見て、柄本さんもより道長に入り込めているのでしょうか?

それはもちろんあると思います。まひろが内裏に入って距離もちょっと近くなって、二人の関係値もちょっとずつ変わってきていたりするので、今までの“離れている時間が二人の思いを強めるのさ”みたいなものはまた違ったソウルメイトのかたちになってきているのかなと。

でも、道長は一条天皇と彰子のことで悩みに悩んで、まひろに「一条天皇に献上する新たな物語を執筆してくれ」って頼みに行って、そこで今までの関係性とはまた違ったものが生まれているのですが、より二人の関係性が強固になっているなと感じているので、その辺りも楽しみにしていただければと思いますね。