幼き“ヨヌ”の遺書に涙が止まらないキム・スヒョン“フォン” 月の記した文字が運命を加速させる第10話<太陽を抱く月>

2024/10/12 12:00 配信

ドラマ レビュー

ホ・ヨヌ最期の手紙が、改めて運命を動かす


翌日、ホ・ヨヌの兄であるホ・ヨムは王宮へ向かう。「お呼びしなければ来てくれないのですか?」と微笑むイ・フォンに出迎えられ、ホ・ヨムは自分から挨拶をさせてくださいと語る。久しぶりに出会う師と2人だけで話すとヒョンソンに伝え、他の者を下がらせるのだった。

ホ・ヨムが差し出したのは、ホ・ヨヌが遺した置手紙。ホ・ヨムはたとえ遅くなったとしても、イ・フォンに届けることが道理だと語る。「妹が夫として慕った方は王様ただ1人です。罪人の手紙なので、燃やしてもかまいません。すべて王様に委ねます、それでこそ――あの世で妹が喜ぶでしょう」と語り、「ただし王様、これで妹をお忘れください」とホ・ヨムは頭を下げる。

いまの相手は王妃であること、彼女に寂しい思いをさせないこと、妹の影から抜け出せないこと…それらは妹も望んでいないはずですと嘆願するホ・ヨムに、イ・フォンは涙を流しながら「誰もが忘れろというのだな」と悲しみに染まった笑みを見せるのだった。

1人になったイ・フォンは、ホ・ヨヌの手紙を開いてその内容に目を通す。

「世子様、最後の力を振り絞り、これを記します。ご迷惑になるでしょうか、お手元に届かないかもしれませんが、書きます。私はこの世を去る前に、世子様を拝見できただけでとても幸せでした。ですから、もうご自分を責めず、私のことは思い出になさってください。もうじき私の父が薬を持ってきます。そうしたら、もう2度と世子様にはお会いできないでしょう。どうか私のことはお忘れになり、お元気でいてください。万世、輝く聖君になられますよう」。ホ・ヨヌからの最期の手紙を読み、イ・フォンは涙を流して心情を漏らす。

「私の身体を気遣うとは…死ぬ直前までだぞ。死力を尽くした手紙だ、なのに私は…情けない。どれだけ苦しんだか、どれだけつらかったか…あの美しい字が…これほど乱れるとは…」泣き崩れるイ・フォンは、同じく涙を流すヒョンソンに華角箱(ファガクハム)を持ってくるように告げる。「思い出せないのだ。ヨヌの字が…思い出せない…。見たい。私にくれた手紙を、もう一度読む」イ・フォンが途切れ途切れの言葉で出した指示に、ヒョンソンは従う。

やがて持ち込まれた華角箱の中に納められていた手紙を見つめ、その美しい字に涙を流すイ・フォン。13歳の少女の文字とは思えないその美しさに触れたとき、イ・フォンの心に電撃が走った。何かに気付いたイ・フォンはウォルからの忠言が書かれた手紙を取り出し、ウォルの文字とホ・ヨヌの文字を見比べる。そして切迫した声で、キム・ジェウンにウォルを呼び寄せるように強く命じるのだった。

ウォル、そしてホ・ヨヌという月を求める2つの太陽


第10話では、ウォルとホ・ヨヌの筆跡から大きくストーリーが動く予感を見せた。さらにかつての師としてイ・フォンに妹を忘れるよう進言したホ・ヨムや、そばに居続けて来たヒョンソンが見せた忠義が特に印象に残る展開となっている。

本当に主を思うが故の言葉は、発した本人たちをも傷つける諸刃の剣だ。主がどれほどホ・ヨヌを想っているのかを知っていればこそ、未来へ進めという進言がどれほど重く、苦しい忠言なのかがわかるというもの。

それでもホ・ヨヌの影から抜け出すことのできないイ・フォンとヤンミョングン(チョン・イル)。彼らの悲しいすれ違いは、どのような結末へと向かって行くのか。そして“行動しなかったこと”を悔いるヤンミョングンが、今後どのように行動していくのか。故人を想うだけではなく、未来へ進むために臣下たちも動き始めた「太陽を抱く月」。Huluにて全20話が配信中だ。