柳楽優弥&中川大志、信頼関係を築く上で大切にしている要素は「尊敬」「人のことなんて分からないという前提」<夏目アラタの結婚>

2024/09/12 08:30 配信

映画 インタビュー 動画

柳楽優弥&中川大志撮影=梁瀬玉実

乃木坂太郎のベストセラー漫画を、柳楽優弥主演、堤幸彦監督で実写映画化した「夏目アラタの結婚」。黒島結菜演じる連続殺人犯の死刑囚・品川真珠にいきなりプロポーズをするという難役に挑んだ柳楽、そして真珠の無実を信じる弁護士・宮前光一を演じた中川大志。中川は同じ事務所の先輩である柳楽との作品での共演を熱望していたという。そんな2人がエキセントリックであり愛に溢れる作品に込めた思いや、お互いに共演しての感想などを語り合った。

ほとんどが1発オーケーの堤組

――原作や脚本を読んでどんな感想を持ちましたか?

柳楽:脚本を読んでから原作を読んだのですが、今回僕が演じたアラタは死刑囚・品川真珠にプロポーズをする役で、そこには真珠との駆け引きもある。本音と建て前みたいなところをモノローグで表現しているのが面白いなと思いました。

中川:突然現れた面識もない男と死刑囚が結婚をするという、かなりぶっ飛んだ設定だなと思うと同時に、宮前のキャラクターは置いておいて、死刑囚を扱うという部分で設定に説得力を持たせる生々しさみたいなものをどうしたら出せるのか…ということは考えました。

――柳楽さんは初対面の真珠にプロポーズをする役、中川さんは真珠の無実を信じる弁護士でしたが、原作や脚本を読んでどんな役へのアプローチをしようと思ったのですか?

柳楽:僕とシンクロする部分はあまり見出せませんでしたが、子どもに対して、どこかちょっと背中を押してあげられる存在になりたいという思いは、多くの人が持つのかなと思ったんです。僕もそこには共感したのですが、あまりキャラクターに感情移入するというよりは、堤監督の演出をすごくストレートに受け入れて、演じることを心掛けていました。

中川:先ほどもお話した作品の説得力という意味で、宮前がその役割をしっかりと地続きで果たせたらいいなと思っていました。例えば裁判のシーンでの弁護士としての1つ1つの立ち振る舞いで生々しさを出すことで、アラタと真珠の異質感がより浮き立つのかなとも思っていました。

現場には常に弁護士指導の先生がいらっしゃったので、いろいろと相談しながら取り組みました。ただ、現実の流れの通りにやると、エンターテインメントとしてなかなか成立しないので。そこは堤監督が作るエンターテインメントの出力をどういう風に表現するかは意識しました。

――柳楽さんは堤監督の現場は「包帯クラブ」(2007年)以来、約20年ぶりということですが、久々の堤組はいかがでしたか?

柳楽:堤監督、1発オーケー多くないですか?(笑)。リハーサルはするのですが、すごく撮影のペースが速い。1回で終わった方が、現場がサクサク進むのでありがたいのですが。

中川:本当に「えっ、もういいんですか?」って感じですよね(笑)。柳楽さんは16歳で堤監督とご一緒していますが、その時は違ったんですか?

柳楽:当時からそんな感じだったかもしれないです。

――現場で堤監督から「成長したな!」などと声を掛けられたことは?

柳楽:直接そういうことは言われませんでしたが、やっぱりこうしてまたご一緒できたのはうれしかったです。僕にとって「包帯クラブ」という映画を撮っていた16歳のときは「どうやったら演技が上手くなるのかな」と真剣に考えていた時期で、ちょうどいい感触を得られた作品でした。

これからこういった感じで進んでいくのかなと達成感もあったので、やっぱり印象に残っています。あとは個人的に子どものころにご一緒した人と、また作品で再会することってすごくうれしいんです。

中川大志、熱望した柳楽優弥との共演で「刺激を受けることが多かった」

――柳楽さんは中川さんにとって事務所の先輩になりますが、作品をご一緒していかがでしたか?

中川:すごくうれしかったです。柳楽さんとはCMのシリーズで何年かご一緒したことはあったのですが、そのときからいつか作品でもご一緒してみたいと思っていました。自分がこの世界に入る前から見ていた先輩ですし、今回役どころもバディのような関係性だったので、すごく楽しみでした。アラタという現実と非現実のバランスが難しい役柄を、こういうアプローチ方法でやるんだ…と刺激を受けることが多かったです。

――シリアスな作品でしたが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

柳楽:堤監督は割とスタッフさんが一緒なので、雰囲気がいいです。信頼できる関係性が出来上がっているので和やかですしね。

中川:そんなにピリピリしていないですよね。

柳楽:基本1発オーケーなので(笑)。こんな穏やかな現場はないです(笑)。

中川:ただ黒島さんとのシーンは、関係性を含めて、あまり撮影以外のところおしゃべりをしないように…という意識がお互いにあったのか、ちょっとした距離感はありました。アクリル板を挟んだ、死刑囚と弁護士という関係性だったので、あまりおしゃべりはできなかったです。

柳楽:法廷シーンはかなりの長丁場で、撮り切ったあとはエキストラさんを含めて拍手が巻き起こりましたよね。なんかみんなで乗り超えた感じがしました。僕はエキストラさんが自然と拍手をしてくださる現場って初めてでした。

中川:舞台劇のような感じもありました。すごく面白かったです。