<試写室>大泉洋主演×宮藤官九郎脚本「終りに見た街」改めてこの時代に見たい作品

2024/09/21 18:00 配信

ドラマ レビュー

戦争を受け入れてしまう怖さ


本作のドラマ化は3度目。1度目は1982年、2度目は2005年とそれぞれの主人公家族が昭和19年にタイムスリップする姿が描かれてきた。

そこからさらに時代の進んだ令和の2024年。タイムスリップした先の、自分たちの暮らしとのあまりの違いに驚く太一家族。そして彼らは戦時下の衝撃の現実を目の当たりにする。

もし自分たちが家ごと戦時下にタイムスリップしてしまったら、果たして受け入れられるのだろうか…。

戦争は良くないもの。頭では分かっているはずなのに、そのスタンスを崩さないのは太一だけ。時代に順応するよう暮らしている中で、「こんな戦争」と言う父・太一に子供達は反発していく。ついには「お国のために戦いたい」と戦争を受け入れ、精神的にも染まっていってしまう。そこにも戦争の“怖さ”が描かれていると感じた。

そして、物語は衝撃のラストを迎える。その展開に、見終えたときには思わず呆然としてしまった。その“終り”をどう受け止めるか。皆さんにも、最後までしっかりと見届けてほしい。

作品を彩る豪華キャストも見どころ


大泉をはじめ、吉田羊三田佳子堤真一神木隆之介西田敏行橋爪功などの豪華キャストが作品を彩っている。

作中では、神木がひかりのパート先であるドッグウェア専門店のオーナー・五十嵐を、西田が太一と敏夫が食料のほどこしを乞う農夫を、橋爪が神社で子どもたちに軍歌を歌わせ、戦争の士気を高める老人を演じている。

ちょっとした役で豪華なキャストが出演しているので見逃し厳禁。取りこぼさないよう見てもらいたい。

文=椿小町