キム・スヒョン“フォン”と愛すべき義兄の関係に大きなヒビ… 運命の残酷さに胸が苦しくなる第13話<太陽を抱く月>

2024/11/09 12:00 配信

ドラマ レビュー

キム・スヒョン“フォン”と愛すべき義兄の関係に大きなヒビ(C)2012MBC

キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。2012年に全20話が放送された大人気ドラマシリーズである同作は、朝鮮王朝の架空の時代に繰り広げられる宮中ラブストーリーを描いた作品。第13話では、王であるイ・フォン(キム・スヒョン)がホ・ヨヌ(ハン・ガイン)であるウォルを拷問から守るために奔走する。さらにヤンミョングン(チョン・イル)との対立が決定的になってしまうという、胸が張り裂けそうな展開について振り返る。(以下、ネタバレを含みます)

イ・フォンを襲った正体不明の病、そして暗躍する王妃


王妃ユン・ボギョン(キム・ミンソ)との床入りの日を迎えたイ・フォンだったが、原因不明の病に倒れてふたたび王妃との子作りはおこなえない結果に終わってしまう。話を聞いて駆けつけ、涙ながらに心配したと語るウォル。「朝まで――いてくれるか?そばにいてくれると、楽に眠れそうなのだ」と弱々しく懇願するイ・フォンは、ウォルがそれを受け入れるとすぐに安らかな寝顔で眠りにつくのだった。

翌日、イ・フォンが倒れた理由を探る臣下たち。イ・フォンの体調は間違いなく回復していたし、日取りにも問題はなかったはず。するとそこで1人の臣下が急に天の気が急に乱れていたことに気付く。それはつまり、イ・フォンを誰かが呪ったのではないか…という結論に至る。

そして大王大妃(テワンテビ)・ユン氏(キム・ヨンエ)とイ・フォンの母である大妃(テビ)ハン氏は、王妃ユン・ボギョンを案じて彼女のもとへ向かう。すると王妃ユン・ボギョンはすべて自分の責任だというではないか。そう考える理由は、“不吉な夢”が原因だという。

夢では白装束姿の若い女が現れ、「王様の寝殿は私が守る」「お前はこの先ずっと王子を産めないだろう」と言ってきたと涙ながらに語るユン・ボギョン。厄受け巫女が王様を惑わし、寵愛されているという噂があるためにこんな夢を見たのだと語った。

それを受けて、ユン・デヒョンら家臣団はイ・フォンが体調を崩した原因を「王の寵愛を受けた厄受け巫女が子作りを成功させまいと呪いをかけたため」という話でまとめる。また宮廷内では、8年前に死んだホ・ヨヌの怨霊が子作りを邪魔しているなどの噂がまことしやかに語られだす。

星宿庁の自室でこれまで知った情報と、自分の知らない記憶とを重ね始めていたウォル。そんな彼女のもとに禁府都事(クムブドサ)のホン・ギュテが訪ねて来る。ホン・ギュテはウォルに大逆罪の疑いがあるとして、強引に連行していく。

ホン・ギュテらの威圧的な尋問にも、一歩と引かず答え続けるウォル。やがて部屋にユン・デヒョンが訪れ、王を呪った者は八つ裂きの刑だと語りだす。無実を訴えるウォルだったが、ユン・デヒョンは「どこからか呪いがかけられたら、誰かが責任を負わんと。それが――どこの誰であろうと関係ないのだ」と温度のない瞳で言い放った。

拷問の苛烈さを挙げながら、ウォルの答え方によって状況は変わるとユン・デヒョンは言う。寝殿に出入りをしながらイ・フォンと交わり、王の独占を図り、どこかで呪いをかけたとウォル自身に言わせようとしているのだ。「私は絶対に王様を呪ってはいません」高潔に告げるウォルだったが、ユン・デヒョンは「答えが違うな」「どうするのだ?厳しい拷問の末に八つ裂きになりたいのか?それとも王様との関係を素直に認めて、追放程度で済ませるか?」と究極の二択を迫る。

捕らえられてしまったウォルを襲う無情な拷問


先行していたソルにチャン・ノギョンが追い付くと、尋問を終えたウォルのもとへ向かう。ウォルの身を案じるチャン・ノギョンへ、まずイ・フォンの無事を確認するウォルに「自分の命が危ない時でしょ」と怒るチャン・ノギョン。しかしウォルは政争の具として巫女が利用されることも理解していること、ここから出られないだろうことを理解していると語る。

ウォルはイ・フォンを陥れる政敵がいると語り、自分が利用されて王が苦しむくらいなら偽証して死んだ方がいいのではとまで考えていた。しかし「えん罪で処刑されたら王様が喜ぶとでも思う?」とチャン・ノギョンに激しく叱責され、ようやく少しの落ち着きを取り戻す。ウォルは巫女も民であり、守れなかったことを王は悔やむだろうと涙を流す。ではどうすればよいのか、思い悩むウォルにチャン・ノギョンは答えられずにいた。

一方、イ・フォンとヤンミョングンの2人は、ウォルが王を呪った罪で尋問されていることを同時に知る。ヒョンソンから聞いたイ・フォンは衝撃に動きを止め、チャンシルから聞いたヤンミョングンは「私とは…関係がない」とこぼしてその場をあとにした。想いを告げてもなおウォルの関心を得られなかったことが、心にトゲを残しているようだ。

そんななか、ウォルの拷問がおこなわれようとしていた。身体に傷を残されながら椅子に縛られているなか、イ・フォンがその場へとやってくる。ユン・デヒョンは周囲の目もあるため場所を変えることを提案し、イ・フォンもそれを承諾。イ・フォンは移動する前に傷付いたウォルの身体を見て、怒りに身体を震わせるのだった。

事後にイ・フォンの許可を取るつもりだったというユン・デヒョンらは、拷問刑を急いでいた理由を語る。ウォルは国の後継ぎに関して根絶やしを図り、王を呪った大罪人。一刻も早く呪いを解くために、急いでいたというのだ。証拠はないが、同時に無実であるという証拠もないという臣下たち。「それほどの重罪なら私が裁こう」と言い募るイ・フォンに、ユン・デヒョンらは言葉巧みに彼の勢いを削いでいく。

ユン・デヒョンの言葉に返す言葉を持たなかったイ・フォンは、自室でその怒りに打ち震えていた。そして怒りのまま動こうとするイ・フォンを、必死に引き留めるヒョンソン。ユン・デヒョンの狙いはウォルの命そのものではなく、王が私情で女を助けたという事実を作ることにあるという。民の模範たるべき王の勝手な行動は、政治運営に必要な士林たちの信頼を失うことに繋がる。「軽はずみな行動をなさると、すべてを失います。1つを…捨てるべきです」イ・フォンの心中とウォルの人となりを知るヒョンソンの進言に、イ・フォンは返す言葉もなく黙るのみ。

その間にも、ウォルへの苛烈な拷問は続いていた。ユン・デヒョンから命が助かるための回答を与えられていたにも関わらず、真実だけを口にするウォル。チャン・ノギョンはユン氏に協力を仰ぐが、まったく力になってくれそうもない。

そこでチャン・ノギョンはこれまでの呪いなどの悪行に協力してきたことを挙げ、「神娘(シンダル、ここではウォルのこと)を失うなら、もう何も恐れません。私の罪を告白して、神娘とともに命を捨てれば終わりです」と迫る。しかしユン氏は8年前の事件がイ・フォンの耳に入ればどうなるか、とユン氏へと激しくなじった。

そんなとき、イ・フォンがユン氏を訪ねてくる。チャン・ノギョンが部屋を出ていくと、ユン氏にウォルへの拷問を止めて欲しいと懇願するイ・フォン。まさか本当に巫女に惑わされたのかと驚くユン氏に、イ・フォンは「私も男ですから」と意外な言葉を口にする。しかしそのうえで「惑わされはしましたが、恋心ではございません。一国の君主に巫女などは不似合いです」と断り、懇願の意図は「この問題を大きくしたくないだけです」と説明。君主としての面目が潰れてしまうため、威厳を保たせて欲しいという切り口で頼み込んだ。

「1つを捨てるべきなら――私自信を差し出して、その1つを生かしてやろう」。心中で呟いたイ・フォンは、ヒョンソンの言葉を受けてなお、ウォルの命を諦めてなどはいなかったのだった。

決して罪を認めずにいたウォルの体が限界を迎えるところで扉が開き、ヤンミョングンがその場へとやってくる。「私が無実を証明する」と宣言したヤンミョングンは、ウォルがヤンミョングンに迷惑をかけまいと伏せていた事実を明かす。

呪いをかけられたと思しきタイミングで、ウォルはヤンミョングンと会っていた…。新たな事実を突きつけられたユン・デヒョンは混乱していたが、同時にユン氏からの指示が出たこともあり拷問は終了する。

そのあと、ヤンミョングンはイ・フォンのもとへ。イ・フォンにウォルの拷問を終わらせるために証言したことを明かすヤンミョングンに、「卑しい巫女のためにそこまでなさるとは、らしくありません」と探りを入れるイ・フォン。するとヤンミョングンは、「私をご存じありませんね」と語り出した。

「私は王様とは違うのです。大事な1つを得るためならすべてを捨てられます」と語るヤンミョングンに、イ・フォンは「私はすべてを得るために欲張り、1つの大切さを知らないとでも?」と問う。苛立ちの伝わる言葉にもヤンミョングンは引かず、「主君ゆえしかたありません。私は王様にとって取るに足らない――卑しい1つを頂きたく参りました。許可してください」と告げる。

しかし、イ・フォンは絞り出すように「だめです」とだけこぼす。ヤンミョングンは「肩書など捨てるのでどうかあの者を…」となおも迫るが、王族の近くにいることがそもそもウォルに危険が及ぶ原因だとはねつけるイ・フォン。

その場を後にしたヤンミョングンは、自分が望むすべてのものと人々を容易に手に入れたイ・フォンへの激情を胸に抱えていた。そして切実に望む1つすらも許されないのなら、と涙ながらに王宮を振り返る。

残されたイ・フォンは、今後はヤンミョングンの恋心を利用する領義政の今後の動きをシミュレーションしていた。しかし今回の件で、ヤンミョングンも安全ではなくなってしまったと悲しむ。「悲しいことだ。結局最も傷付くのは、ウォル。あの者なのだ」涙を浮かべながら、イ・フォンはそう呟くのだった。