「八犬伝」の挿絵を葛飾北斎が描いてたというのは知らなかったので、原作の滝沢馬琴と挿絵の北斎の関係が、漫画原作者と漫画家の関係みたいに描かれていて、観てて、あるあるな感じもよかったし、役所広司さんが好きだったので、やはり滝沢馬琴を見事に演出して味付けがグッとくる見応えの演技でした。
滝沢馬琴の人生を全てかけての創作やその生き様など、僕の仕事にもリンクする感覚がジンときました。
馬琴の生きる現実世界と八犬伝というフィクション世界が相互に作用しあっている様がよく表されている。本気で向き合って創り上げたものは人の心を動かすのだと強く感じた。また、馬琴と北斎の掛け合いも非常に面白い。
映像が美しくて、すぐに映画の世界に引き込まれてしまいました。いくつものストーリーが同時進行していて、どうなるのかハラハラドキドキして感動の結末でした。
父と子、母と子、剣士たちの友情、滝沢馬琴の鬼気迫る創作への執念。いろいろなテーマが散りばめられていて、見どころが盛りだくさんだったので、もう一度観たいです!
「八犬伝」の物語が完成するまでの滝沢真琴の28年間の苦悩から、大きなことを達成するには、自分一人の力だけでは難しいという思いが感じられる映画でした。
また、八犬士のように仲間のために自己を犠牲にして戦う姿勢や、葛飾北斎と滝沢馬琴のように互いに高め合う友情には、アスリートの競技生活でも経験するライバルへの想いと共通するものがあり、胸が熱くなりました。
この「八犬伝」は馬琴の物語という切り口が、今この時代に観るべき作品に思えました。「虚」と「実」の2つ世界が観れる、映画的にエンタメでゴージャスなんだけど、ボクらものを作る者たちにとって、問いかけられ自問自答できる作品に仕上がっていて、非常に気持ちが良かったです。