ハン・ガイン“ヨヌ”「私が父を殺したも同然よ」ついに記憶を取り戻し、“自身の死の謎”に立ち向かう<太陽を抱く月>

2024/11/22 12:00 配信

ドラマ レビュー

“自身の死の謎”に立ち向かう(C)2012MBC

キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。2012年に全20話が放送された大人気ドラマシリーズである同作は、朝鮮王朝の架空の時代に繰り広げられる宮中ラブストーリーを描いた作品。第15話では、記憶を取り戻しつつあるホ・ヨヌ(ハン・ガイン)が決意を新たにするようすなどを振り返る。(以下、ネタバレを含みます)

記憶を取り戻したウォル=ホ・ヨヌが立ち向かうものは


おぼろげながら一部の記憶を取り戻したウォル(ホ・ヨヌ)は、記憶の穴を埋めるべく再会したソルに過去を確かめるための問いを投げかける。ウォルの変化など思いもよらないソルはこれまで通り偽りの歴史を告げるのだが、ウォルが「なぜ偽るの?」と強く問うと彼女が記憶を取り戻しかけていることに気づく。

涙ながらに謝るソルはこれまでのことを語り始める。ホ・ヨヌの父は事実を知っていたこと、薬で眠らせて墓から出したこと、世子ピンが巫病であったことを隠すために必要だったことなどを告げた。ウォル…ホ・ヨヌは、自分が生きていることを家族には伝えられたはずだとしながらも疑問を覚える。

神母であるチャン・ノギョン(チョン・ミソン)に、神降ろしをされた記憶はないと語り出すホ・ヨヌ。ならば自分は巫女にはなれないはずなのに、星宿庁へ籍を置き、厄受け巫女としての役割も果たせていた。もし8年前に巫病にかかっていないのであれば、世子ピンになってすぐ起きた現象は一体何だったのか。

当時は大王大妃(テワンテビ)・ユン氏(キム・ヨンエ)に目をかけられ、国巫という立場でもあったチャン・ノギョンが自分を救うべく奔走した理由など謎は深まるばかり。誰が敵なのかを見極めるまでは、チャン・ノギョンであっても完全には信頼しないとホ・ヨヌは決めるのだった。

一方、宮廷では頭を悩ませるイ・フォン(キム・スヒョン)の姿が。接触を図ろうとした星宿庁のチャン・ノギョンが数日がかりの山ごもりに出たということで、偶然にしては出来過ぎていると考えたイ・フォン。しかし答えのない思索が頭を堂々めぐりするようになると、風に当たるため散歩へ向かう。道中で出会った王妃ユン・ボギョン(キム・ミンソ)とともに、どこへともなく歩くことに。

歩くうち、隠月閣の前を通った2人。イ・フォンの意識がそちらに向いたことを理解したユン・ボギョンは、「私は待ち続けるつもりです。私を見てくださるまで、いつまでも待ちます。あの者を忘れろとせかしたりしません」と語る。王は太陽であり、王妃は月だと微笑んでいた。

一見健気なユン・ボギョンの言葉だが、イ・フォンの脳裏を過ったのは8年前に「太陽を抱く月」をホ・ヨヌへ渡したときのこと。「私の王妃はお前だけだ」と語った言葉はいまでもイ・フォンの心にしっかりと刻まれており、どうしても“つつがなく成長したホ・ヨヌ”の幻がユン・ボギョンの前に浮かんでしまう。

謹慎が解かれたヤンミョングン(チョン・イル)に、その理由はイ・フォンが臣下を説得したためだと語るキム・ジェウン(ソン・ジェリム)。それを受けたヤンミョングンは旅に出ると言い、行先を察していたキム・ジェウンが引き留める。

ホ・ヨヌは王の女だが巫女ウォルは違うと語り、2人を混同しているイ・フォンと自分は違うと語るヤンミョングン。「私は――巫女ウォルを慕っているだけなのだ」と毅然と語り、肩書を捨てる覚悟を見せながらヤンミョングンは飛び出していくのだった。

「淫」の文字を縫い付けられた服を着て、今度こそ活人署に送られるホ・ヨヌ。都とはほど遠い、あまりにも貧しい生活を送る民衆を見て悲痛な表情を浮かべるホ・ヨヌは、活人署を訪れ懸命に苦しむ人を救おうとしているヤンミョングンと出会う。ともに協力しながら苦難にあえぐ人々を助けつつ、2人の距離は近付いていく。

夜、落ち着きを取り戻したところでヤンミョングンから、「言葉にできないほどつらい経験をしただろうが、生き延びてありがたく思う」と純粋でまっすぐな気持ちを伝えられるホ・ヨヌ。行方不明と聞いていたウォル(ホ・ヨヌ)と出会えて安心したとして、もう来ないことを伝えながら去ろうとするヤンミョングンだったが、活人署の者達に引き留められる。「もてる男はつらい。弱ったな」と冗談めかすヤンミョングンを、陰ながらキム・ジェウンが見守っているのだった。

8年前の真相を隠し続ける"敵"の謀略の手


活人署から宮廷に戻ったキム・ジェウンは、ウォルのようすをイ・フォンに報告していた。ヤンミョングンのことも含めて伝達を終えたキム・ジェウンを下がらせたあと、8年前の謎を追うイ・フォンは当時世子ピンの世話をしていたノ尚宮(サングン)を探すように命令し、「(ホ・ヨヌが)病で倒れた日に何があったのか聞いてこい」とホン・ギュテに指示をする。一方、外戚派の首魁であるユン・デヒョン(キム・ウンス)らはまたしても暗躍をはじているのだった。

ノ尚宮の元にはソルも訪れており、8年前のできごとにはミナ王女が関わっているということを知らされる。そしてそんなソルと入れ替わるように、ホン・ギュテが現場に到着。しかし突如として、黒装束の刺客たちによって襲撃を受ける。なんとか撃退してノ尚宮のもとへと向かったホン・ギュテだったが、既にノ尚宮は殺害されていた。明らかに、証言を得させまいとする何者かによる暗殺だ。

報告を受け、またも罪のないものが犠牲になったことに怒りをあらわにするイ・フォン。ホン・ギュテの命すら危険に晒したことは自分に責任があると語り、ホン・ギュテも安全ではないとして身を引きたければ言ってくれと声をかける。しかし「王様にささげた命です。どんな危険があろうとも私は途中で諦めません」と忠誠心を見せるホン・ギュテの姿に、イ・フォンは改めて宮廷に張り巡らされた陰謀の大きさを知るのだった。

父ホ・ヨンジェの墓参りに来ていたホ・ヨヌは、偶然にも直後にやってきた母シン氏と兄ホ・ヨム、ミナ王女の会話を隠れて聞く。父はホ・ヨヌの死を偽装したのち、ホ・ヨムがミナ王女と結ばれてから心を病み、自害してしまったという。それを聞いたホ・ヨヌは「私が父を殺したも同然よ」と後悔を吐露。自分が死ぬことで周囲の人間が助かると思って行動したことが、逆に家族を苦しめてしまった…その事実に涙を流し、改めて真実を明らかにすることを決意する。

活人署に戻ったホ・ヨヌの暗い顔を見て、ヤンミョングンは木の棒を使った子どもたちの遊びにホ・ヨヌを巻き込む。体を動かして笑顔を取り戻した頃、物陰から自分達を見つめるイ・フォンとキム・ジェウンに気付いたヤンミョングン。その陰をホ・ヨヌには見せないよう、不意に抱き締める形で目を隠すのだった。

その夜、さまざまな事態が一気に動き出す。チャン・ノギョンは星宿庁に帰還してイ・フォンが呼んでいることを聞き、ホ・ヨヌのもとへ王妃ユン・ボギョンからから密命を受けた使者が「王妃様が及びだ」と告げに来る。さらにヤンミョングンのもとへはイ・フォンが訪れ、「とても…無謀です」と胸のうちを明かす。

イ・フォンはヤンミョングンが活人署に何度も訪れていることを指摘するも、ヤンミョングンは一向に悪びれるようすはない。「慕っている女の苦境に男なら黙っていられません」と言い放つと、「近づくなという王命に背くのですか?」という問いにも一切ひるまず相対する。異母兄弟の確執が、徐々に隠せないほど決定的なものへ変わっていく。

一方、王妃ユン・ボギョンのもとへとやってきたホ・ヨヌ。真実を明かすべく決意を固めたホ・ヨヌの固い表情とは裏腹に、ユン・ボギョンの顔は恐怖に歪む。ついに憎き“王を惑わせた女”と初めて対面を果したユン・ボギョンは、夢にまで現れていた“呪い殺された”はずの王妃ホ・ヨヌの面影を見たのだ。