「どうも、神様です」そうマキタスポーツが自己紹介する。そんな神様なんているんだろうか? こんなせりふで始まるのは、人気脚本家・木皿泉が、“人生の道草”をテーマに描くショートドラマ「ショートショート木皿泉劇場『道草』」(12月9日、12月16日[土]夜11:00-11:30、NHK BSプレミアム)である。12月16日(土)の「第二夜」放送に先駆け、「第一夜」のあらすじと番組の見どころを紹介する。
「第一夜」で描かれたのは「さよなら不思議ちゃん」、「バンパイアはつらいよ」の2作。そして、「みちくさひふみん」という加藤一二三が“街ブラ”するミニコーナー。「どうも、神様です」とカメラに語り掛ける男(マキタスポーツ)は物語のストーリーテラーだ。どうやら、人間が神様を信じなくなってしまったから、この姿になってしまったらしい。
「さよなら不思議ちゃん」は、タクシー運転手・八代(皆川猿時)とアイドルの客・ピュアコ(門脇麦)が繰り広げる、ワンシチュエーションの会話劇。
“不思議ちゃん”キャラでテレビやラジオに引っ張りだこなピュアコだが、現実では普通に話す“ちゃんとした女性”。そんなピュアコが家出を企てタクシーに乗り込み、運転手の八代と「本当の私って?」や「こういうのが幸せ?」という日常の疑問について話し合っていく。実家に戻ることにしたピュアコは、八代に「やってゆけますかね、私」と問い掛け、八代は「いけますとも! 根拠はないですよ、でも、いけます」と答える。
そして、もう一つの物語は、505歳のバンパイア・佐藤和夫(鹿賀丈史)とそのおいで106歳のヒロシ(荒川良々)の日常を描く「バンパイアはつらいよ」。血が飲みたい2人は街中で献血車を装い、血を集めようとする。しかし、ここは吸血鬼には世知辛い現代の日本である。なかなか血は集まらない。
そんな中ヒロシは、人間の“アケミさん”に恋をしたことを父に反対され、家出してきたと告白する。“アケミさん”の「諦めないところ」が好きだと話すヒロシに、和夫は「人間ってヤツはさ、どんな時でも“もしかしたら”って思うんだよ。弱いくせに、限界を知らないんだ。バカだよなぁ、無駄だと知ってるのに何かを信じて頑張るなんて」と語り、「でも、人間のそういうとこ、俺らにはちょっと“キュン”とくるよな」とにっこり笑い掛ける。その言葉に元気づけられたヒロシが“アケミさん”の元へ向かうところで、話は50年後の未来に飛ぶ。
同じような場所で献血を集めている和夫の元に、柴犬のような“オオカミ男”をヒロシが和夫の元へ連れてくる。友達に“オオカミ男”だと言われたから、そんな理論で柴犬を“オオカミ男”だと主張するヒロシに、和夫は「俺たちもそうなんだよな。人間が吸血鬼はいると思っている限り存在できるが、本当はいないんだと思った瞬間全て消え去るのさ」と吸血鬼界のタブーを明かす。
どこかの誰かが吸血鬼を信じていることで存在していると分かったヒロシは「人間に嫌われている訳じゃないんですね」と笑顔になって、80歳になった人間の“アケミさん”の世話をしに家に帰る。
そしてところどころに登場するミニコーナー「みちくさひふみん」。バラエティー番組への出演が後を絶たず、忙しそうな“ひふみん”が、ゆっくりのんびり街中を歩く姿はなんだかかわいらしく、おかしく、癒やされる。そういえば、“ひふみん”って丸くて白くて、神様に見えなくもないような気がするのである。いや、実際に「一分将棋の神様」なんて呼称もあった“ひふみん”だから、今テレビに出ている人で一番神様に近いんではないだろうか。
もしや、人間が神様を信じなくなったら“ひふみん”も消えてしまうのでは?
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)