【シブメンFILE 番外篇(前)】眞島秀和、長谷川博己…昨今の“おじさん需要”を考える

2018/06/23 05:00 配信

芸能一般

今秋スタートの朝ドラに大河主演にと”大仕事”が立て続く長谷川博己(C)NHK

昨今、老若男女問わず熱い視線を浴びるナイスミドルな俳優たち。眞島秀和新井浩文ら“シブメン”にフィーチャーし第三弾までお送りした【シブメンFILE】と題した当企画。ここで一旦ブレイクして【番外篇】とし、この"シブメン需要"はどのあたりから始まり、どのような潮流を経てきたのか? について探ってみるべく、ライターの小田慶子氏に考察してもらった。

堺雅人が道を作った実力派の成功路線


2010年代はまさにナイスミドルの時代! 若いころにデビューし、たちまち人気が出て連続ドラマの“顔”となるのがアイドル的な俳優だとすれば、30代になってから初めてドラマ主演を果たし、大人の男性ならではの魅力を放つのが昔で言う“遅咲き”の俳優。若いころは演劇や映画で経験を積み、徐々にドラマでも存在感を発揮する。2010年代、この方式で成功を収めたのは堺雅人だった。

堺は36歳のとき「ジョーカー 許されざる捜査官」(2010年フジテレビ系)で連ドラ初主演。「半沢直樹」(2013年TBS系)では大ヒットを飛ばす。そして、42歳で大河ドラマ「真田丸」(2016年NHK総合ほか)に主演。俳優として頂点を極めた。

このサクセスストーリーに続いているのが長谷川博己だ。34歳のとき「鈴木先生」(2011年テレビ東京系)で連ドラ初主演。39歳のとき主演映画「シン・ゴジラ」(2016年)が大ヒット。絶好調のまま40代に入り、今後は連続テレビ小説「まんぷく」(10/1(月)スタート)でヒロインの夫役、2020年には「麒麟がくる」(共にNHK総合ほか)で大河ドラマ初主演を果たす。

堺も長谷川も、サラリーマンや官僚など、日本らしい組織人の役柄がハマる。かと思えば、古沢良太脚本作品のようなコメディでエキセントリックな演技も見せられるし、女性を惑わすプレイボーイの役もできる。やはり舞台で鍛えてきた人は強い。俳優としての高い能力とスマートなルックスを兼ね備えた最強の40代なのだ。

それでは次に主演クラスに上がってきそうなのは誰か? 最有力候補はブレイク中の高橋一生だ。

彼の人気は、プライドの高い政治秘書を演じた「民王」(2015年テレビ朝日系)で火が点き、「カルテット」(2017年TBS系)では準主役。既に朝ドラと大河にもメインキャストとして出演を果たしているが、まだ連ドラ主演作はない。現在37歳で、さらにキャリアアップしていきそうだ。高橋にはセクシーな美声という強力な武器もある。

また、眞島秀和はゲイ役も演じられる繊細な魅力で人気上昇中。ツンデレキャラが上手いのは、高橋一生にも通じるポジションだ。新井浩文は悪役もギャグもできるエッジの効いた演技で、浅野忠信のような存在になりつつある。

30代後半から40代の男性には大人としての安定感があり、自信があるがゆえに弱い部分も隠さない。その自然なたたずまいが、女性の心をときめかせる。しかも、恋愛ではまだまだ現役という俳優にとって最も“甘みが増す”時期なのかもしれない。