本題の前に、今さらプレーバックするようだが、それにしても第3シリーズのラストで死んだと思った山下巧(片岡愛之助)が生きているとは思わなかったなあ。
あのラストもかなりビックリしたし、正直続きがあるとは思わなかったので、第4シリーズの放送が決定したと聞いた時は驚いたものだ。
舞台だった「第11方面本部準備室」は責任を問われて解体され、水田(倉科カナ)、青山(塚本高史)、片桐(吉田)らはそれぞれ別の閑職へ。
天樹も警視庁舎の片隅に位置する「刑事資料係」に飛ばされるって、そうなったらもう「刑事7人」じゃないじゃんって思っていたのだが、どこに行っても彼らは彼らだ。
最終回では冒頭数分間の異国情緒あふれる光景、そしてその異様な街を何とも雰囲気のある顔つきで闊歩(かっぽ)する吉田鋼太郎。
それにあの独特の音楽…哀愁が漂い過ぎて、異国の美女と世界をまたにかけて国際恋愛でもしているような雰囲気だ。
もちろん「おっさんずラブ」のオープニングだとは思わなかったが、「刑事7人」のオープニングであるということを思い出すまでに数分を要した。
吉田関連でいえば、片桐と警務部長・寺山(宅間伸)らが広い会議室に3人だけ集まって三者会談的なことをするシーンもダンディーがあふれているが、何でもないようなせりふも片桐というか吉田が吐くと意味深に聞こえるのはなぜだろう。
対照的にどんなせりふを吐いても爽やかに聞こえるのは、やる気に満ちあふれた“ルーキー”野々村こと白洲迅。
「おまえ、おばあちゃん好きだよな?」って聞かれて、あんないい顔で「はい!」と即答できる若者は果たしてこのご時世いるのだろうか。
あんなに爽やかな顔で聞き込まれたら、タクシーの運転手も何でも答えてあげたくなっちゃうだろう。
そして「刑事7人」の、いや日本の“座長”と言いたくなるオーラを放つ東山。
普通に考えれば連続ドラマの主役、それも刑事ドラマの主人公が異動することってそうそうないのだが、東山演じる天樹は警視庁遺失物センターから捜査一課12係に配属されたかと思えば、機動捜査隊を経て今度は刑事資料係…と実に幅広い。
同じ東映の釜の飯を食う(?)某・糸村(上川隆也)という流浪の男の例もあるが、彼は前提として一風変わった男なので、とりあえず置いておいて…。
東山本人を「Mr.パーフェクト」とか「Mr.ストイック」と称することもあるが、こうやって異動を繰り返してシーズン10くらいになったころには天樹は“影の最強の刑事”として君臨しているかも。
それくらい今シーズンの天樹はただ者ではないオーラを放っているし、実際“人間犯罪ビッグデータ”として難事件を解決に導いてきた。
それにしても主人公が異動したのにもかかわらず、「刑事7人」としてのフォーマットを損なうことなく視聴者を楽しませてくれるのは、主人公の存在感はもとより、作品そのものの力によるものが大きい。
だからこそ連続ドラマとして第4シーズンを数え、ここまで環境を変えて形態を変えても一つの物語としてのつながりが感じられるのだろう。
最近お世話になることが多いあるグループの曲にも「Shapeless」(形のないもの)というのがあるが、“形のないチーム”に見えて、芯の部分では通じ合う彼らの物語は、今後も続いていってほしいものだ。
あ、しまった。
小粋なオチを忘れてしまった…来年忘れ物を取りに来よう。
文=人見知りシャイボーイ
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