亀梨くん演じる主人公・直貴は何も悪いことをしていないのにどんどん世間からはじかれていく。非常に胸の痛くなるドラマです。でもどうか見届けてほしい。彼がそれをどう受け止め、どう乗り越えようとするのかを。簡単には答えの出ない問題に、真正面から取り組んだ作品です。
娘の恋人が犯罪者の身内だと知ったら、親はどんな行動をとるのか。あくまでも芝居であるはずなのに、今回は私も娘を持つ父親として本気で悩みました。世間体は気にしない広い心と、娘の行く末を心配する親心が葛藤しました。
作家は見てきたような話を書き、役者は体験したような人生を演じますが、人間の深層心理をえぐり出すこの物語は、生半可な想像力では賄い切れない厳しさを持ちます。重厚な人間ドラマをどうぞお楽しみください。
東野圭吾さんの作品に参加するのは、「手紙」が3作目です。今回も深い人間ドラマに圧倒されました。亀梨くんとは初めての共演でした。静かな中に緊張感のある現場で、充実した時間を亀梨くんと共有できたと思っています。
撮影を終えて思うことですが、誰が欠けても成立しなかったように思います。皆さん、一つ一つのせりふや仕草など繊細に、時に大胆に演じていただき、重厚な人間ドラマになりました。このドラマの中で生きている人たちは、必ずしもいい人ばかりではありません。ただ、妙に人間らしく、それぞれに“正義”があります。
人ってそんなに優しくないし、積み上げたものが突然崩れてしまうような自分ではどうしようもない出来事もある。表と裏、光と影…。何が正解で誰が正しいのか分からないこの時代に、あえて視聴者の皆さんの想像力に問いかけてみたいと思います。何かを考えてくれるきっかけになれば幸いです。
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