「梶山(田中哲司)は出世欲が強いくせに冷酷になれない」
「菱本(でんでん)は、荒っぽいようで実は細やかに人の心を読み取る」
「玉垣(塚地武雅)は刑事が忘れがちな普通の市民感覚を持っている」
「真壁(天海)は、あぶなっかしくて見てられなくくらいまっすぐだ」
春さん(小日向文世)が強く語ったキントリ・メンバーへの思いもむなしく、現構成メンバーの正式変更を目前に控え、一丸となって挑む最後の事件。第9話からスリリングな内容が繰り広げられ、中でも同級生を毒殺した事件の被疑者・未亜を演じる吉川愛の“狂気の演技”が、物語を、そしてキントリ・メンバーを大きくかき回している。
その一方で、主演の天海とは初共演となる吉田鋼太郎演じる染谷も、第9話のラストでその本性が徐々に明らかになっていったが、もちろんただの心優しき元校長という肩書だけで終わるわけもなく…。
「手をついて頭を下げろ!」最終章のキーワードといっても過言ではないこのせりふ、自供を引き出せず焦るキントリ・メンバーを尻目に、吉川が不気味な笑みを浮かべながら相対する有希子に放つのだが、頭から離れないほど衝撃的。(吉川のファッションも気になるところだが…)
そして最終回、再び有希子は未亜と対峙(たいじ)する。緊迫の取り調べシーン、“密室の銃撃戦”とはまさに言いえて妙であり、わずかな沈黙、呼吸、目線、言動、その全てが弾丸のように頭を貫いてくるように鮮烈だ。もはや取り調べ室であることも忘れてしまうような、「ここってリングの上だっけ?」とさえ感じてしまうほどの攻防が繰り広げられる。
もちろん舞台は取調室の中だけではない。“モツナベコンビ”の監物(鈴木浩介)と渡辺(速水もこみち)や他のキントリ・メンバーが真相をつかむべく奔走する姿も、最終話かと思うと痛いほどに胸を打たれる。
“雨”でつながれた未亜、藤井、染谷ら3人の思惑が交錯する怒涛(どとう)のクライマックス、今シーズン最後の「うぃ~」は耳を澄まして受け止めてほしい。
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