――役作りのため7キロ増量されたとのことですが、苦労された点や、女優業に対する意識で変わったことなどがあれば教えてください。
体形を変えて役にアプローチするというのは今回が初めてでした。今までの役と違い、練習期間・準備期間を含め半年くらい、水泳の練習や食生活を見直す時間をいただきました。
増量は痩せるのと同じくらい大変で…。ずっと胃の中に食べ物がなくてはならないという状況が思った以上に大変でした。
ハイカロリーな食事がメインで、野菜も摂ってはいたのですが、途中で軽い食事がしたいなと思うこともありました。でも、時間をかければかけるほど自分が前畑さんに近づいていっているような気がして、肉体からのアプローチってこんなにもせりふを自分のものにできるんだ、生き様を自分の中に自然と落とし込んでいけるんだと感じました。
これからも自分でセーブをかけずに、いろんなことに挑戦して役作りしていけたらと思います。
――具体的にどのような食事を摂って、どんなことが辛かったでしょうか?
食生活に関してはサポーターの方が主に管理をしてくださいましたが、一時期すごく運動もして、食べる量も増やしているつもりなのに、体重の増加が停滞してしまった時期がありました。
その時にひたすら脂質を摂らなきゃいけなくなったのはすごく辛かったです。なるべく脂の多いものやすぐにエネルギーに変わるものを選んで食べるという、ダイエットの真逆の生活をする必要があって…。
食事もなるべく1日5回とって、寝る前に食べたり、夜中に脂質をたくさん摂ったりするのは、とても辛かったです。
――肉体改造をしたことによって前畑さんの生き様を自分に落とし込めたとのことですが、上白石さんの感じた前畑さんの生き様とはどのようなものでしょうか?
1930年代頃はまだ女性の地位も高いわけではなく、女学校を出たらすぐに嫁ぐというのが普通だったと思うんです。そんな中で前畑さんは普通じゃない扱いを受けていただろうし、せりふの中にはそこまでひどい言葉はありませんが、実際はいろんなことを言われたんだろうなと思うと胸が痛くなります。
前畑さんは、幼い頃に両親を亡くした経験や水泳にかける情熱、信念など、さまざまな強さを持っている方です。日本人初の金メダリストということで、当時の女性の進出にもすごく影響を与えたと思います。
――今回前畑さんを演じたことによって、スポーツ選手の見方は変わったりしましたか?
昔からスポーツ選手の方のドキュメンタリー番組をよく見ていたのですが、前畑さんを演じてからは大会に向けてのプロセスを知りたいなと思うようになりました。
また、最近パラリンピックに関するお仕事をさせていただいたのですが、パラリンピックの水泳選手の方のドキュメンタリーもすごく感動しました。
パラリンピックは特別な訓練を重ねないとできない競技だと思うので、そういったドキュメンタリーに触れて、どんどん知っていきたいなという好奇心が広がっているところです。
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