丹後の言動の根幹にあるのは、自分のなすべきことや目の前の相手に真っ向から向き合う“フェアプレー精神”だ。尾花との対立も、本物を追い求めるからこそ生まれるものであり、そこに悪意はない。だからこそ、視聴者は尾花と同じくらい丹後を受け入れ、感情移入する。
その証拠に、視聴者からは「こんなライバル関係っていいね」「祥平くんがgakuに入って、丹後さんに仲間ができてよかった!」など、丹後に寄り添う感想が少なくない。
演じる菊之助は、歌舞伎界ではすでに知らぬ者のない人気者だ。可憐な女形が人気で、2018年の大河ドラマ「西郷どん」(NHK総合ほか)ではその美しさを生かし、西郷吉之助(鈴木亮平)をも魅了する美貌の僧・月照を演じて話題をさらった。類まれなバックグラウンドからにじみ出る気品と思慮深い立ち居振る舞いが、料理に誠実な丹後というキャラクターに説得力と人間的な深みを与えている。
今年は歌舞伎役者としても、新たな挑戦に向き合う。12月6日から東京・新橋演舞場で上演される新作「風の谷のナウシカ」でナウシカ役を務めるが、今舞台は菊之助が中心となり、5年の準備期間を経て実現に至ったもの。じっくりと腰を落ち着け本物を追求する姿勢は、丹後の生きざまにも重なる。
ドラマでは今後、尾花ら「グランメゾン東京」の面々とミシュラン前哨戦である「トップレストラン50」の順位をかけて激突する。その闘いを描く第6話では、尾花と丹後それぞれの緊張感みなぎる料理シーンも描かれる。役者として円熟味を増す菊之助ならではの“最強ライバル”に大いに注目だ。
11月24日(日)放送の放送では、祥平が丹後のいる「gaku」に入ったことを知り戸惑う京野(沢村一樹)や相沢(及川光博)。しかし、尾花は強力なライバルの出現を楽しんでいるかのようだった。そんな中、今年度の「トップレストラン50」表彰式が東京で行われることに決定。それを聞いた尾花は、日本が誇る食資源の代表格である“魚”の料理を開発し直すことに。一方、丹後と祥平も魚料理の新メニュー開発に取り組んでいた…。
文=酒寄美智子
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)