――田畑さんが嘉納治五郎(役所広司)から受け取ったストップウォッチを岩田(松坂桃李)に渡したり、聖火リレーを若い世代に託したりと、これまで繋いできたものを新たな人々に引き継ぐような描写がとても印象的でした。
勘九郎:ストップウォッチは嘉納先生から岩ちん(松坂演じる岩田)に繋がっていきますが、聖火リレーに関しては勝手にこの人(金栗四三)が走っていっただけなんでね(笑)。もう本当に申し訳ない感じです。
最終回に田畑さんと開会式当日の朝にスタジアムに2人きりでいるシーンがあるのですが、とても楽しかったです。本当に勝手に走っていた人間の往生際の悪さが出てた(笑)。
阿部:ストップウォッチ、あれ岩ちんに渡したんじゃないんですけどね。
田畑さんが無理矢理組織委員会を外された時に置いて帰っちゃったものを岩ちんが勝手に持って行っただけなので(笑)。最後また返しにきてくれるんですけどね。
それだけ繋いできたものなのに、あっけなく終わっちゃうことってあるじゃないですか。そういうことあるんだなぁって勉強になりました。
リレーという意味では、田畑さんは若者に頑張ってほしいからと“じじい”(金栗四三)を聖火リレーで走らせなかったのですが、田畑が回ったりする動きを小学生が真似してくれたり、田畑さんのひ孫さんも真似していて、「まーちゃん頑張れ」っていうお手紙をいただいたりもするんです。だから若者…、小学生のハートは掴めたなと思います(笑)。
――放送が始まる前、宮藤さんがこの物語をどう“サゲ”るのか気になるとおっしゃっていましたが、結末についてどう思われましたか?
阿部:最後は(ビート)たけしさん演じる古今亭志ん生で終わるんだろうなと思っていたので、それは合っていました。
ただ、僕は最初に「日曜日の8時に笑いが起こる」みたいなことを言っていたのですが、反響を聞いていると泣けたという人が多いんですよね。そこは間違えたなって思って。
笑いが多いイメージだったのですが、泣けたと言ってきてくださる人が結構多かったので、これはびっくりしましたね。実際台本を読んでいても泣けるというシーンが結構あったので、そこが意外でした。
――金栗さんは1912年のストックホルムオリンピックでゴールできませんでしたが、最終回(12月15日放送)でスウェーデンのオリンピック委員会からの呼びかけにより、ようやくゴールテープを切りますね。
勘九郎:「あなたはゴールをしていないからゴールしに来てください」という手紙を出すって、すごくおしゃれですよね。
このエピソードは金栗さんを演じる前にも聞いていて、54年後にゴールするというのはかっこいいなと思っていましたが、あの手紙が来たらそりゃうれしいだろうなと、金栗さんを演じて改めて思うようになりました。
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