――主役が田畑さんにバトンタッチしてから金栗さんと田畑さんの共演シーンがありましたが、いかがでしたか?
阿部:アスリートだった頃の金栗さんと、引退してからの金栗さん、そして嘉納さんに聖火ランナーを頼まれた頃の金栗さんって変化があるんですよね。
引退してからの金栗さんはいいおじいさんになっていて、かわいくて、すごく面白いんです。さっきも勘九郎くんが言っていましたが、すごくね、ネチネチした男になっているんですよね(笑)。
勘九郎:多分、とにかくオリンピックに関わっていたかったんでしょうね。
阿部:そうだね。最終回で治五郎さんからの手紙を持ってきて田畑さんに読ませるんですけど、途中で田畑さんは読むのを辞めるんですよ。そうすると金栗さんが空で言い始めるんですよね、暗記してるの。あれは面白かったですね。
勘九郎:田畑さんとご一緒のシーンは濃かったですね。立場は違えど「オリンピックが好き」という純粋な気持ちを持っている二人なので、一緒にやっていて楽しかったです。
――「いだてん―」の出演を通してスポーツの見方は変化しましたか?
勘九郎:僕は運動が苦手なのでこれまでは避けてきたのですが、この作品を通して走ることの楽しさを知りました。
また、スポーツという言葉が浸透していない時代を経て、2020年には東京に2度目のオリンピックがやってくるというのはすごいことですよね。そしてそんな大きな大会の一瞬に懸ける選手たちの精神やプレッシャーに関しては気を使うようになりました。
お芝居はあくまで“うそ”ですが、それでもオリンピックシーンの撮影前には白髪が増えたりしましたから…。本当の選手たちはそれ以上ですよね。
阿部:そうですね。だからプレッシャーという意味では、「何が何でも金メダル」「全種目制覇」とか、そういうのは言っちゃいけないなって思います。
それでだめになっちゃうこともあるかもしれないし、お守りを飲み込んでしまう人(1936年ベルリンオリンピックの際に前畑秀子はプレッシャーのあまり、試合前にお守りを飲み込んでいた。作中では日本中からの激励の電報を飲む描写があった)もいますからね。田畑さんも最初は「何が何でも金メダル」って言っていましたけどね(笑)。
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