今から22年前の1998年6月「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に初登場した浜崎あゆみが2ndシングル「YOU」を歌った場面を偶然見ており、「こういう人がいるんだ」と思ったのもつかの間、その後とんとん拍子でリリースを重ね、あれよあれよと時代のカリスマに。
メディアを通してとはいえ、同じ時代にその姿を見てこられたのは、今思えばとても幸運だ。
だからこそ今、小説化、そしてドラマになって安斉かれんがアユ役と聞いた時には心底驚いたものだが、恐る恐る映像を見た瞬間、雰囲気が似ていてまたまた驚いた。
声やしゃべり方というか、雰囲気が浜崎そのもの。さすがアーティストだけあって歌もお上手だし、エキストラ演技も絶妙に“いそうな感じ”。芯の強いところはありながら、どことなく支えてあげなきゃと思わせる弱さのようなものも兼ね備えている。
もちろん第1話なので、まだアユのストーリーにおいてスターへの“DEPARTURE”の部分しか描かれていないが、今後この少女がどうやって平成の歌姫になっていくのかを見守りたい!と思わせるには十分のインパクトだった。
個人的には、マサからかかってきた初めての電話に対し、アユの受話器(携帯電話)を持つ手が震えていて、“7回目の電話”で呼び出されるという描写が、勝手に「appears」を想起してゾクゾクッとした。
一方、マサ役の三浦は熱くて革命児的な若手経営者を演じさせたら右に出る者はいないなぁ。ベルファインのVIPルームでの立ち居振る舞い、人気プロデューサー・輝楽天明とのシーン、後半のアユとのシーン。こちらも第1話から飛ばしている。
ちょっとだけ、彼みたいな人に叱責されてみたいと思うのは私だけだろうか。
そのマサの右腕・流川翔役の白濱亜嵐のほどよく“チャラいギョーカイ人”風演技がかわいく見えるくらい、アユとマサを取り巻くキャラクターの個性が強過ぎる。
“怪演”の匂いがプンプンする謎多き眼帯美女・田中みな実に、高嶋政伸&高橋克典という出てきただけで画面が震える社長コンビ、大物・輝楽P役の新納慎也のクセの強さ、なぜかロボ感のあるキャラを演じがちな田中道子、目力強い次世代ヒロイン・久保田紗友、しれっと広告ポスターに登場する弘中綾香アナなど…具だくさんの火鍋のようにスパイシーで、興味をそそるメンバーぞろい。
「鈴木おさむ脚本で『奪い愛』を超えるジェットコースター・ラブ作品」という触れ込みだけに、まだまだこれは序の口。今後も油断も隙もないキャスティングと演技が見られそうだ。
それと、アーティスト名こそフィクションだが、浜崎以外の登場楽曲も心躍るものばかり。ミリオンセラーCD連発時代の名曲がどんどん登場し、思わず口ずさまずにはいられない。
音楽以外にも“ベルファイン”にしろ、懐かしい形のパソコン、携帯電話など、当時の文化を再現した小道具など、随所に小ネタもちりばめられている。
アユとマサの物語を見守りつつ、当時を知らない人は新鮮な気持ちで、当時ブイブイいわせていた人は懐古しながら見るのも一つの楽しみ方か。
家族に当時の武勇伝なんか語れば、家で“居場所がなかった”お父さんも、子どもから尊敬のまなざしで見られるかも。
私もそうしたいのはやまやまだが、相手が“見つからなかった”。
文=人見知りシャイボーイ
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