「真田丸」堺雅人が見た“大坂の人々”とは!?

2016/05/11 05:00 配信

ドラマ

秀吉や茶々に振り回される信繁を演じる堺雅人に直撃!(C)NHK

堺雅人が主演を務める大河ドラマ「真田丸」(毎週日曜夜8:00-8:45ほかNHK総合ほか)。第14回からは大坂に舞台を移したが、主人公・信繁(堺)は豊臣秀吉(小日向文世)をはじめとした大坂城の人々に振り回される日々。そんな大坂城の人々を主演の堺が語った。

――大坂編に入ってからの信繁の印象はいかがですか?

大坂にやって来た信繁を、僕は“田舎で青春を過ごした人が、都会に就職で出てきた”というように捉えています。当時の豊臣政権という大企業に就職して、コネもあって、割と中枢に入ることができて…という感じ。裃(かみしも)をピシッと着ているのも、サラリーマンのスーツみたいですしね。

ただ、地元の工場(真田家)から大企業に出向している身なので、「大企業になじまなくてはいけないけれど、自分の工場に利益誘導もしたい」という下心があるやっかいな新入社員です。

――信繁の成長した部分を感じることはありますか?

せりふで言うと、前半では「私は」ばかり言っていた気がするんですね。「私はどこに向かうのでしょうか」「私はどうすればいいのでしょうか」みたいに。それが大坂に来てからは、「私は」がなくなってきて、歯車の一員になってきている印象も受けます。

――信繁を振り回す秀吉ですが、「真田丸」の秀吉の印象や他作品と違うと感じるところはありますか?

今までの秀吉というと、生きる希望にあふれた立身出世の人ですよね。でも、信繁が出会った時点で、秀吉は後半生に入っている。ちょっとおかしくなってくる時期で、作家によってはこれ以降を書かないという選択肢も出てくるポイントです。

でも、三谷(幸喜)さんは、別人になってしまった秀吉を真正面から描くつもりなんじゃないかと思っていて。権力者がおかしくなったために、全体の歯車が狂っていくという物語というのは見ものだし、「見ておきたい」と感じました。

――小日向さんとの共演のご感想はいかがですか?

特にないかな(笑)。いや、本当に尊敬する先輩です。いらっしゃるだけで現場がすごく明るくなって活気が出るし、芝居が読めないというか、毎回違う生き生きしたお芝居をされますし、「えっ」ていうところでせりふをトチられたりもしますし(笑)。本当に子供のような先輩なので、ご一緒していてすごく楽しいですね。

そういう意味では、今回は三谷さんの当て書きなのかもしれないですね。小日向さんのそういったところを見て描かれているかもしれないです。シェークスピアのお芝居でいうところの“道化師”がそのまま権力を持ってしまった…みたいな恐ろしい感じなんですよね。われわれ一般人は、きまぐれに振り回されるばかりで、それが面白いです。

――秀吉の部下である石田三成はどのような印象を持たれましたか?

“器用そうに見えて不器用”というのが、今回の三成の面白いところなんですよ。淡々と職務をこなしているんですが、大きく見ると非常に不器用な人生を歩んでいるな、という。それが山本耕史への当て書きなのかは、僕は知りませんが(笑)。彼は、何でもできる役者ですからね。

「新選組!」では同志の役でしたが、今回は上司と部下。年齢は僕の方が上なんですが、(上下関係が逆転していても)全然違和感がないというのがすごいところですね。超人的な器用さを持ちながら、やっぱり心のどこかに熱いものがあるというのは、石田三成にぴったりなのかな。石田三成に会ったことないですが(笑)。

――そんな三成を信繁はどう見ているのですか?

最初はすごい人だなと思っているんですが、最近は「ちょっとこの人不器用なんじゃないか」と気付いている気がしますね。それに比べて片岡愛之助さん演じる大谷刑部の存在が大きくなっていて、彼は逆に、「真っすぐなようでいて、この人、実はしたたかなんじゃないかな」というキャラクターです。そんな二人の組み合わせは面白いなと思います。

――茶々には、振り回されるシーン多いですが演じてみていかがでしたか?

竹内(結子)さんの少女のような面と、大人の色気みたいな面が、くるくると入れ変わるんですね。カットごとにどんどん変わるというか。すてきな女優さんというのは、やはり、そういうところがありますね。子供だと思っていたら、ドキっとするくらい大人で、茶々役が竹内さんで良かったなと思いながら演じていました。

――茶々は、梅やきりとはまた違ったキャラクターですが、どういったところが魅力だと思いますか?

やっぱり、毒があるんですよね。危険な甘い毒があって、それがすごくいいところなんですよね。彼女は、(大坂の陣で)信繁を大坂城に呼び戻して、結果的に殺しちゃうわけですから、ある意味では呪いを与える存在なんですね。そんな彼女とのロマンスも楽しんで見てほしいです。

――そんな新たなキャラクターに囲まれ、一緒に大坂にやってきたきり(長澤まさみ)の存在が次第に大きくなるように感じますがいかがですか?

長澤さんの役目というのは、多分、物語全体を引っかき回すことだと思うんですね。物語が一つの方向に向かって、話が分かりやすくなる時に、邪魔をして引き戻していく。すんなり行ってしまったらつまらなくなるものを、障害としていてくれるのはありがたいと思います。ある意味、難しいところを全部長澤さんがやってくださっているので、役者として非常に信頼しています

これまでのきりは「おまえさえいなければうまくいっていたのに」ということが多かったと思うのですが、終わった後は、きりが一番いとおしくなるんじゃないかな。信繁にとっても「おまえがいてくれて良かった」となるんじゃないかなと思っています。

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