「真田丸」山本耕史が語る“三成VS家康”!

2016/08/10 05:00 配信

ドラマ インタビュー

クランクアップ直前の石田三成役・山本耕史を直撃!(C)NHK

大河ドラマ「真田丸」(NHK総合ほか)の8月7日放送で、ついに豊臣秀吉(小日向文世)が死去した。今後は、石田三成(山本耕史)と徳川家康(内野聖陽)の対立が、さらに激化。秀吉に代わって、三成を中心に物語が進んでいく。

そんな大役を務め上げ、クランクアップ直前という山本耕史を直撃。役へのこだわりや秀吉死後の三成がどのように描かれるのかを聞いた。

――まずは、三成にとって大きな存在だった秀吉が死去しました。秀吉が老いゆく姿というのを山本さんご自身はどのように見ていましたか?

小日向さんは、食事制限で体重を落とされていて、その姿を見て「一時代が終わってしまうんだな」と実感しました。寂しさと同時に「ここから踏ん張らないと」という思いにもなりました。

三成は、殿下(秀吉)亡き後の豊臣家のことを誰よりも考えていて、その分、誰よりも「気合を入れて何とかしなければ…」と思っていたと思うんです。本当は、もっと柔軟な生き方をすることもできたはずですが、不器用なほど忠義に厚いところが三成という男なのかなと思います。

――秀吉の死の前後で、三成が変わったなと思うところはありますか?

三成を演じるに当たっての演技プランは、“余計な動きをして自分の感情を悟られない”、あるいは“自分の感情は周りにとって意味がないと思っているので極力感情を出さない”というものでした。でも、秀吉の死後になって、三成の心の奥底にある熱さが出てくるんです。

もちろん、殿下が存命の時も三成は一生懸命尽くしていたのですが、殿下亡き後の豊臣家を誰がまとめるかというときに、「自分が何とかしなければ…」という思いを強めていったんだと思います。その思いが募りに募って、やがて関ヶ原を迎える…というのが三谷(幸喜)さんの描いた三成像でしたね

――今後は、三成と家康との対立が物語の主軸になりますが、台本を読まれた感想はいかがでしたか?

殿下が亡くなった後の三成は、やるべきことは多くなる一方、何を核としていいか分からず、自分の居場所を見失うようなところがあるんです。もちろん、先頭を切って豊臣家を率いる覚悟はありますが、残念なことに彼はその身分にはありません。だからこそ、立場を乱用して秀吉の遺志を曲げる家康のことが許せないんです。

でも、次第に「家康を中心に政治を行った方がいい」という人々が増えてきて、「これだけ豊臣家のために頑張っているのに、三成はこんなにも人望がないのか」と思うと、演じていてもつらかったです。ただ後半は、三成がとても感情的になるので、自分自身も台本を読んでいて引き付けられましたし、「この人の味方になってあげたい」と、皆さんに思わせてくれると思います。

――やがて三成と家康は、関ヶ原の戦いで激突しますが、そこに至るまでの三成の思いはどのように想像されましたか?

三成は、やはり殿下にものすごく従順なんですよ。死が迫った秀吉が「家康を殺せ」と三成だけに言っていましたが、ある意味、それに捉われてしまうんです。

そもそも三成は家康をずっと危険視していましたから、秀吉にそう言われて「よし!」とか「ついに!」と思ったはずです。ただ、今回の台本では、三成は家康を討った後のことについては、あまり考えていないですね。どちらかといえば、周りにいる刑部(片岡愛之助)たちの方が、その先のために頭を働かせている。そこにキャラクターの個性が出ていて、面白かったです。

――そんな家康との対峙(たいじ)するシーンは演じてみていかがでしたか?

殿下亡き後、自分の思い通りに政治を進めようとする家康に対して、三成は真っ向から批判するのですが、それは策略でもなんでもなく、(秀吉への)忠義心から出てしまうんですね。でも、はたからは空回りしているように見えて、そこがとても切ないですね。

――内野さんとは、どんなやりとりをされましたか?

実は、三成が真正面から意見をぶつけ合う相手というのは、家康くらいなんです。信繁には上から話しますし、刑部とは対等な関係ですが、二人の間にはあるのは、あくまでも“意見の交換”なので。だから、内野さんとは撮影前に入念に話し合いをしました。

例えば、監督が “家康が立ち上がって三成の方に来る”というシーンを提示したときも、僕が「家康は、三成ごときを相手に立ち上がらないのではないですか?」と意見を出せば、内野さんも「座ったまま堂々としている方が、三成が一人取り残されている感じがする」とおっしゃっていて。そんなふうに意見を出し合いながらシーンを作り上げました。

―― 一方で、信繁との信頼関係は今まで以上に濃いものになります。三成は信繁をどのように見ていたのでしょうか?

信繁は、三成にないものをたくさん持っているんですよね。三成本人も分かっていて、第17回では「上杉に気に入られ、徳川に取り入り、殿下の心をあっという間につかんでしまった。何者なのだ、おぬしは」というせりふもありました。三成にはできないことを難なくやってしまう信繁なので、今後もさらに頼りになる存在になっていきます。

ただ、憧れや嫉妬というのは、「真田丸」の三成には縁のない言葉です。三成は、「俺はその方法は嫌いだからやらない。ただ、おまえはそれができるのだから生かせ」という割り切ったスタンスなんです。よく言えば、人の長所をしっかり見極めているのですが、悪く言うと“自分にはできない”ということをうまく表現できないところがありますね。

――三成を演じて一番苦労されたことは何でしたか?

単純に言えばせりふの量が多いことですね(笑)。堺(雅人)さんが「三成が入ってから、僕は楽になった」とおっしゃっていましたが、「やっぱり、多いんだ!」と思いました。

特に三成は、人や地名など、説明するせりふが多いので、難しい単語もよく出てくるんですね。秀吉も自分で説明すればいいところを「治部!」って振ってくるので(笑)。忍城攻めの戦略を話すところなんて、オンエアされた部分の倍くらい話していました。

それから、先に感情を極力出さないようにしたと話しましたが、自分に少し高いハードルを課したのでそれも大変でした。たとえば、歩きながら説明をしているところでも、ゆったり動いたり、目線を動かしたりすれば、もう少し楽に芝居できたと思うのですが、それはしないと自分の中で決めていたので。毎回毎回、乗り越えなくてはいけないことはありましたね。

――撮り切り直前ということですが、あらためて三成を半年演じられた感想をお願いします。

あっという間だったんですが、考えてみれば半年もやっていたんですね。先日、小日向さんがクランクアップされて、「(自分は)ここから頑張らないと」と思っていたのですが、そこからひと月くらいですかね。気が付けば、撮影終了が迫っていたという感じです。

信繁が出世していく時期であり、有名な事件や出来事もたくさん描かれた大坂編だったので、「濃い時間を駆け抜けたな」という感じがします。

――三成役は俳優人生にとってどんな役になりましたか?

12年前の大河ドラマ「新選組!」(’04年、NHK総合ほか)でも俳優の幅を広げてもらいましたし、ほかの舞台でもご一緒させていただきましたが、三谷さんはいつも俳優として転機になるような役を振ってくれるな、とあらためて思います。

おそらく、三谷さんは三成という男をかなり好きだと思うんです。そんな役をやらせてもらって、不器用ではあったけど清く正しい彼の人生を駆け抜けることができたので、寂しさはあっても悔いはなく撮影を終われるなと思いました。

ここまで長く役に関わったのは、結婚してから初めてでしたから、そういう意味でもきっと思い出深い役になると思います。

関連番組