吉田羊「震えるようなお芝居をさせていただきました」

2016/10/12 08:00 配信

ドラマ

「WOWOW開局25周年記念『連続ドラマW コールドケース~真実の扉~』」で主演を務める吉田羊スタイリスト=梅山弘子、ヘアメイク=paku☆chan(Three PEACE)、ブラウス、リング(humoresque)、パンツ(CINOH・MOULD)、イヤーカフ(PLUIE・Stroller PR)

10月22日(土)からスタートする「WOWOW開局25周年記念『連続ドラマW コールドケース~真実の扉~』」。放送を目前に控え、主演を務める吉田羊が作品の見どころ、撮影現場の様子、さらに刑事役への思いなどを明かした。

――今回の出演が決まったときの感想からお聞かせください。

どんなお話でもそうなんですけど、作品が面白ければ面白いほど自分で大丈夫かなという気持ちにはなります。今回特に全米で大ヒットしたドラマですし、原作を拝見したところとてもチャーミングで女性らしく、自分の雰囲気では到底表現できないと思い、余計に私でいいのかなと思いました。

しかし、プロデューサーさんや監督さんから「ほかの女優さんでもうまく演じてくれるとは思いますが、今回は、今のところ色のついていない女優さんである吉田羊さんにお願いして、視聴者に『石川百合』として見てもらいたい」と言っていただきましたので、それならばぜひやらせてくださいと出演を決めました。

――「石川百合」のキャラクターが、原作の「リリー」とは別ものに見えたのですが、自身で役どころについて意識したことはありますか?

私は日本の作るドラマの丁寧さ、繊細さがとても好きで、原作にはないものが作れると思っていました。実際、1話を見させていただいて、手前みそになりますが、本当にすごく面白くて2回見ちゃいました(笑)。

自分大好きみたいで恥ずかしいですけど(笑)、それは原作を思い出しながら見る部分と、原作へのリスペクトはありながらも、日本の曲が流れ、日本人が演じることで、しっかりと日本のものとして成立している、より身近な事件として感じられる作りになっていると思いました。

あと景色なんかも、見た人が分かるようになっていて、そういった日本版ならではのコンテンツがちりばめられているので、これは米国版のまね・リメークではなく、日本版のコールドケースとして独り立ちしていく作品だなと感じました。

――刑事を演じるに当たっての役作りや苦労した点などありましたか?

これまでも刑事役はやっていますが、ここまで被疑者に踏み込んでいく役は初めてでした。自分が台本を読んだときに感じた気持ち悪さ、「知りたい」という気持ちを強く持つことを意識しました。

特に二人で取調室にいるシーンは、「負けてはならぬ」「絶対に真実を突き止めるんだ」という気持ちで臨みました。

一筋縄ではいかない犯人・対象者ばかりで、役だけでなく俳優さんとしても、ただでは転ばない“怪優”たちばかりなので、まずは俳優としても「飲まれてはならぬ」という気持ちと、役として、刑事として負けてはならぬという気持ちを強く持っていました。

石川百合は完璧な人ではなく、ミスをすることもありますが、むしろそこが人間らしく、魅力的です。

間違ったときに格好つけたりせず、大真面目に自信を持って間違うことで、そこが人間らしくかわいらしく映るかなと思っています。

――個性的な共演者が多い中、印象に残った方はいらっしゃいましたか?

今回の登場人物の中で一番印象深かったのは、仲代達矢さんです。それは、「会話劇」とは真逆のことになりますが、せりふのない「間」こそ仲代さんとのお芝居の醍醐味(だいごみ)でした。

書かれているせりふ以外の「間」や「行間」では、表情や目の動きだけで書かれている以上のものが表現できます。

仲代さんは純粋にその役として存在するだけで、神々しく、かといって俳優としての威圧感というものでもなく、背景の一部のようにいるだけで、風情がある人でした。

思わず、この域に達するにはあと何年、何十年必要だろうと考えてしまいました。俳優として、いいものを見せてもらったなあという気持ちです。仲代さんとは震えるようなお芝居をさせていただきました。

――今回バディ的存在の永山絢斗さんとの絡みが多いと思いますが、永山の印象はいかがでしたか?

彼はとても不器用な人で、台本を読んでふに落ちないと芝居ができなくなる人なんです。なので監督やプロデューサーと夜な夜なディスカッションを重ねていて、最終回までそんな感じでした。

その不器用さが役ともぴったり合っていて、とてもいい俳優さんだなと思っていました。実際、彼の搾り出すようなせりふから受けるものは大きかったです。

――刑事ドラマの魅力ってどの辺りにあると思いますか?

間違いなく言えることは「必ず解決すること」。現実社会でも気持ち悪さを感じる事件が多い中で、ドラマの中だけはきちんとすっきりさせてくれる、安心感というのはあります。

また、チームプレー、個人プレーなどアプローチの仕方はいろいろあって、あまたの捜査の可能性があるというところも魅力の一つです。刑事ドラマは数多くあるので出尽くしているんじゃないかと思うこともありますが、まだまだ可能性を感じます。

――今後吉田さんが挑戦したい作品・ジャンルなどありますか?

「大奥」。松下由紀さんが演じられていた「おふく」がやりたいです。着物が大好きなので。着物は日本人にしか似合わないし、お芝居の中で着物が着られる時代物は貴重な機会だと思うので挑戦してみたいです。

――では最後に見どころをお願いします。

とにかく脚本がべらぼーに面白いです。映像美も素晴らしい。また、事件の年代に合わせてヒット曲など見どころが満載です。

「1話見逃すと人生損するよ」くらいに思っているので、ぜひ見逃さずご覧いただきたいです。百合さんが大好きなので、続編があるならばぜひやらせていただきたいです。