ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第116回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞 受賞インタビュー

(C)フジテレビ

奈緒

最優秀主演女優賞、初受賞おめでとうございます。

ありがとうございます! 聞いたときは、「え?本当に?」っていう感じで、とてもうれしかったです。光栄です。以前、「あなたの番です」で助演女優賞をいただいたときもそうなんですけど、本当に素敵な役に恵まれて、幸せな巡り合わせを頂けたことで、こういった賞も受賞できたことが純粋にうれしいです。


今回の投票理由に「等身大の主人公感はもちろん、瑛太さん演じる夫の浮気の告白に対して目に涙がたまっていったり、体が震えたりというリアクションもすごくリアルでした」などの声が寄せられました。吉野みちを演じるにあたり、意識していたことは?

みちの中の寂しさをしっかりすくい取りたいなと思いながら現場に行っていました。台本を読んでいるだけでは湧き上がってこない感情と現場で出会うことができた作品で、コメントで頂いた陽ちゃんの浮気が分かるというシーンも、ト書きに「手が震える」って書いてあって、涙をするということも書いてあったんですけど、台本を読んだ段階では、みちがどれだけその瞬間に傷つき、何を感じるのか想像がつきませんでした。

でも現場で監督と話して、本番は目の前に陽ちゃんがいて、監督と瑛太さんに引き出してもらったものがたくさんあって、それをカメラマンさんが捉えてくださいました。なので、私がみちとしていられたのは皆さんのおかげだなと思っています。この賞を頂けたこともみんなに報告したいと思います。


切ないシーン、素敵なシーンがたくさんありました。印象に残ったシーンはありますか?

本当に3カ月の間、みちと共にいたので、印象に残っていることだらけなのですが、離婚をするシーンは、これまでお芝居でああいう感情になったのは初めてで。“もうこれ以上やりたくないな”って思ったんです。すごく悲しくなってしまって。

もちろんみちが選んだ選択だし、陽ちゃんもそれをくんでくれて、2人にとってすごく考えて出した結論なんですけど、でもいざ目の前で陽ちゃんが離婚届に書いているのを見たら、すごく悲しくて。これまでの作品でも離婚をするシーンはあったけど、実際に離婚届を書いているのを見るというのは初めてだったので、この字を見るのは最後なんだとか、手とか、耳とか、全部が今日で終わりなんだっていうのが押し寄せてきて…今でもその感情は心にも体にも刻まれたように残っています。


そのような繊細な心理描写に共感した人も多く、SNSでも盛り上がっていました。その反響は届いていましたか?

はい、届いていました。このドラマは夫婦間のとっても個人的な問題のお話なんですけど、皆さんが、この夫婦は本当にいるって感じてくれて、時には共感してくれたり、叱っていただけたり、そういう反響があればうれしいなと始まる前から思っていたので、いろんなご意見をいただけて、応援してくださる言葉もすごく響いてきましたし、こんなに反響を頂けるってことは、作っている側としては力になりますし、より責任感を持ってやらなければと。みちを手放さないようにできたのは皆さんの声の力が大きかったです。


現場でも、SNSの話題は出ましたか?

やっぱり、ここ最近はTVerやFODの見逃し配信などで見てくださる方がいて、再生回数が伸びていて、個人視聴でこっそり見てくださる人がいるんだと感じました。“こっそり視聴”っていうワードができるくらい、そういう風に皆さんが個人的に楽しんでくださっているんだなと。

SNS上での声もすごく届いていたので、現場で話すことも多かったですね。YouTubeやTik Tokで感想を言う動画を上げてくださっている方もいましたし、YouTubeで人気のレインボー・ジャンボたかおさんが特別編に出てくださったりもしましたし、SNSで盛り上がってくれるのはうれしいねって言いながら、みんなと現場で見ていたりしました。


SNSでの反響といえば、ラストシーン。坂を上がって2人が幸せそうにしているシーンが、みちと陽一が元サヤに戻ったのか、過去の場面なのかと意見が分かれていましたが、奈緒さんとしてはどうとらえていますか?

あそこが、いつの2人なのかっていうのは明確にしていないし、皆さんの中でのそれぞれのラストになったらいいなって思っていましたね。撮影の直前まで台本もどんどん変わっていきましたし、すごくライブというか、何が一番、この2人にとって希望だと思うかっていうのは、現場でそれぞれが自分たちの中に持ちながら作っていましたね。

あとは監督がすごく勇気を持ったラストというか、そういう風に仕上げてくれました。なので、これは本当にたくさんのお声を頂くだろうなと思いながら、放送をドキドキしながら見ていました。ラストは自分たちの中ではもうあったので、みち、陽ちゃん、新名さん、楓さんの4人がどう向かっていけばいいのか、まだまだ描きたかったぐらい、どんどん膨らんでいきました。そのくらい2組の夫婦の話が広がっていったのは本当に幸せなことだなと思います。そこには、皆さんの声の力もありましたし、改めてやさしさって何だろう、幸せって何だろうと考えさせられた3カ月でした。


このドラマは奈緒さんにとって、どんな作品になりましたか?

役者としてすごく新しい景色を見せてもらった作品でした。今までやったことのない役柄でしたし、きっと、みちという主人公は、見てくれる人が100人いたとしたら3人が大好きになってくれたらいいなと。みちが大好きだって、これは自分のことだって思ってくれる人が3人でもいてくれたらと思って現場に立っていました。

その3人のためにも、みちが戦ったり転んだりしながらも、自分の幸せを見つけないといけないよって思いながら演じていた3カ月だったので、みちという役と出会えて、戦友ができたような。みちだけじゃなく、制作スタッフさんやキャストの皆さんも戦友だと思っていますし。この役はこれからも私が何か戦わないといけないときに、きっと戦友として隣にいてくれるだろうなと思います。
(取材・文=石塚ともか)
あなたがしてくれなくても

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ハルノ晴の同名漫画を奈緒主演でドラマ化。「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」(2014年)のスタッフが二組の夫婦の禁断の恋愛を描く。建設会社の営業課で働くみち(奈緒)は、ある日、酔いに任せて既婚者の上司・誠(岩田剛典)に夫・陽一(永山瑛太)とのセックスレスを告白。それを境に、それぞれの夫婦が抱える問題が表面化する。

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