劇場編集版アニメ「日本沈没2020」湯浅政明監督インタビュー「“その後”の世界を含めて描くことに意味がある」

2020/11/12 12:12 配信

映画

映画「日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ-」より(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners


小松左京のSF小説「日本沈没」(角川文庫)をアニメ化し、Netflixで国内視聴ランキングNo.1を獲得した「日本沈没2020」(全10話)。同作を湯浅政明監督自身が編集し再構築した映画「日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ-」が11月13日(金)に公開される。


本作を手掛けた湯浅監督に、作品に込めたメッセージについて聞いた。

未曾有の事態を“普通の家族”に寄り添って描く


――アニメ版「日本沈没」を手掛けることになった経緯はどのようなものだったんですか?

湯浅「アニメーションの企画を進められていたプロデューサーの方からお話を頂きました。小松左京さんは僕らの年代にとってまさに“SF界の巨匠”で、『日本沈没』は実写映画化もされているビッグタイトル。自分に接点のある作品とは全く思っていなかったのですが、あの物語をどう表現できるのかトライしたいという想いが沸きました。全くやってこなかったジャンルだからこそ『どうすればいいか?』を考えるのは面白いし、チャレンジングで楽しいなと」

――「日本沈没」は今回が初のアニメーション化ですが、ストーリーはどのように構成していったのでしょう?

湯浅「スペクタクルをアニメーションで表現するのは相当難しいんです。監督をやると決まった時はまだイメージが無かったのですが、恐らくリアルに描くしかないだろうとは思っていました。原作のままでなくても構わないという話は最初の段階から頂いていたので、柔軟に考えながら新しい方向性を探っていく感じでした。

描き方を模索する中で、だんだんと見えてきたコアな部分が、“普通の家族”に寄り添う形。震災が起きた際、確かな情報がない中で、それぞれが集ったり心配したりどうしようと葛藤している。そんな人達を描くのなら、面白くできるのかなと。構成という面では、ストーリーを組み立てるというよりも、必死でその場その場を生き抜いていく人たちを描くことに重きを置きました」