それに加え、小芝の繊細な演技や家族役キャストとのアンサンブルも見どころな同作。“物の気持ちがわかる”という難役に挑む小芝は、これまで主演してきた「トクサツガガガ」(2019年、NHK総合)や、「妖怪シェアハウス」(2020年、テレビ朝日系)などで主人公の葛藤や悩み、さらに喜びや奮闘を“若手演技派の筆頭”と呼ばれる、高い演技力で見事に体現してきた。
そんな、表現力に磨きをかけた小芝は、あまりに特殊な感覚を持つ萌子美の人に理解してもらえない孤独や悲しみ、一方で物と会話するときの自分を解放した心情などを、せりふ回しだけでなく、細やかな表情の変化などで丁寧に演じていく。
これまで人と関わることを極力避けて生きてきた萌子美だが、一方で物と会話を楽しむ瞬間はどこにでもいる、心穏やかな女の子。同作では、そんな萌子美の心情を淡い色彩が印象に残る映像美で表現しており、物語だけでなく、映像も心落ち着くような作品に仕上がっている。
また、萌子美が物と話す場面では、初回では“汚れて泣いている窓”と“ささいな傷があることを伝えようとするねじ”などが登場。物の声に耳を傾ける萌子美とのやりとりのシーンも、見どころの1つだ。
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