ラジオリスナー有志によって、その月もっとも印象に残ったラジオ番組を表彰する「プラネット賞」やラジオにまつわるトークイベント「ラジオリスナーフェス」を立ち上げた岩井葉介が、自身が面白いと思ったラジオ番組について語っていく。今回はハライチの岩井勇気、澤部佑がパーソナリティを務めるTBSラジオ「ハライチのターン!」を取り上げる。
2009年「M-1グランプリ」でのハライチ
2009年12月20日。「M-1グランプリ」は、この年で第9回をむかえていた。5番目の出番で登場した笑い飯が披露した鳥人のネタに、審査員の島田紳助が史上初の100点をつけ、異様な盛り上がりをみせる番組を見ながら、この後に登場するコンビはやりづらいだろうなーと、当時25歳だった私は16インチの小さなテレビ画面を見ていた。
「原市生まれM-1育ち」と紹介されたハライチは、揃いのスーツを着ているわけでもキャラクターをのせているわけでもなく、漫才の日本一を決める大会に出るというより、「ふらっと二人で近所まで遊びにきました」というような雰囲気で舞台に登場した。
「飼いたいペットの特徴があるんだよね」と始まった漫才は、明確なツッコミが存在せず、岩井の発言に澤部がテンション高く状況説明を続けるというまったく見たことがないものだった。
後にノリボケ漫才と名付けられたそのネタの面白さに、ダラーっと座っていた私はいつの間にか前のめりになり、審査員の点数が伸び切らなかったことの意味が理解できず、同世代の芸人からうけた衝撃を受け止めきれず、意味もなくグルグルと部屋を歩き回ってしまった。
それから7年後の2016年にTBSラジオで放送を開始したラジオ番組「ハライチのターン!」。この番組も聞けば聞くほどその新しさにどんどん引き込まれていく。