中村勘九郎が主演ドラマで中村七之助と共演!「我が弟ながら誇りに思います」<インタビュー後編>

中村勘九郎主演の「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」の後編が12月11日(土)に放送(C)NHK

「楽しかった」弟・七之助と大人になってから初共演


――弟である七之助さんとの共演についてお聞かせください。

「本当に大人になってからの共演は初めてでした。別に共演NGとかじゃないんですけど(笑)、七之助は『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』でも共演パートがなかったので。こういうふうに膝を突き合わせてしゃべる役で、しかもバディみたいな役どころも初めてだったので楽しかったですね。根はすごく熱い男なんですけど、あの人ってすごくクールに見えるじゃないですか? 全然緊張しないようにも見えるんですけど、後編での芝居茶屋で向かい合って話すシーンでは手がブルブル震えていたんです。それぐらい、緊張感を持って作品に取り組んでいてくれたのかと思うと、我が弟ながら誇りに思います」

――また、後編からは石橋蓮司さん演じる芝居小屋の神様“コン太夫”も登場しますが、勘九郎さんは芝居の神様を感じることはありますか?

「しょっちゅうありますし、いると思います。舞台は神聖な場所ですので、出る前には必ずお塩で清めています。神が宿る場所だと思っていますので。それから蓮司さんとお仕事できたこともうれしかったです。うちの父(十八世中村勘三郎)のことを大好きでいてくれて、七之助とは『ライジング若冲』でご一緒させていただき、僕もいつかと思っていました。今回は蓮司さんが源孝志監督に『俺、何か出る役ないのか?』と言って、あのコン太夫役が決まったそうなのです(笑)。コン太夫はとてもチャーミングで、撮影も楽しかったです」

――今作で描かれている江戸歌舞伎ならではのトリビアのようなものがありましたら教えていただけますか?

「江戸時代には今のようなカツラがなかったので、当時の人は役者自身の髪で侍のまげや、町人の頭を作っていました。女方は頭に布を載せていますが、あれは中剃りを隠すためで、それが今も残っているんです。そういったいろいろなチャレンジを今回はしました。例えば、羽二重の技術がまだない時代なので、衣装をどうするかですとか。これは歌舞伎のコアなファンの方でもなかなか知らないことだと思いますが、こだわっております。それから、後編で出てきますが、稲荷町以上は衣装が自前なので、同じ役職の役でもひとりひとり違うところもこだわっております」