小栗旬、決断を迫られる北条義時を演じる思い「正直言ったら結構しんどいです」<鎌倉殿の13人>

2022/05/07 09:00 配信

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小栗旬(C)NHK

とても悩みながら進んできた部分はあります


――佐藤浩市さん演じる上総広常が亡くなった第15回「足固めの儀式」の現場の雰囲気や、佐藤さんの演技はいかがでしたか?

あの日の現場はこれまで撮影をしてきた中でも、数本の指に入るくらいピリッとしているムードではあったと思います。ただ、自分も義時としてその現場にいてお芝居をしているので、目の前で浩市さんのあのような芝居を見たからということで、その時に「おぉー!」というような感覚はなかったです。撮り終わって出来上がったものを見た時に感じるものはありました。

自分としては、最後に義時の方を向いて、少し笑顔を残す上総介という人は、一体どういうメッセージを自分(義時)に送ったのだろうかということはとても悩みながら進んできた部分はあります。

――佐藤さんと撮影の際にお話されたりしましたか?

シーンについての会話は特になかったです。その時の演出が保坂慶太という監督だったので、かなり保坂さんと浩市さんが入念にお話されていました。自分(義時)からすると、何がどういうふうに起きていくのかわからない状態で見た方がいいと思っていたので、浩市さんや保坂さん、獅童さんたちが打ち合わせしているところは、なるべく聞かないようにしようと思っていました。

――以前、大河ドラマ「義経」(2005年)で梶原景季を演じていましたが、景季から見た義経と今回演じる義時から見た義経の違いはありますか?

義経のキャラクターもその時と今回で違ってくるので、なかなか平行線で考えるのが難しいです。今回の「鎌倉殿の13人」では、今後、義経が頼朝サイドからすると物凄く大きな問題になっていき、その中で、自分が演じる北条義時という人はどういう動きをしていたのかということが今後展開されていき、かなり大きな決断をしなければいけない瞬間が待っています。そこは第18回以降の一つの目玉になるのかなと思います。

北条義時役は“結構しんどい”も「現場はみんな楽しく撮影できている」


――苦渋の決断を迫られる義時を演じる中で、大変なことはありますか?

正直言ったら、結構しんどいです。自分が義時をやらせてもらっている中で感じることは、どのシーンにいても「次どうする、次どうする」ということを常に考えていなければいけなくて、それが最初の頃は楽しかったし、どんどん成長していく自分というものを愛せていた時期もあったと思います。でも、回を追うごとに、次どうする=誰かをはめなければいけない、誰かを落とさなければいけない、という選択肢になってきているのがしんどくはなってきています。その中で、現場はみんな楽しく撮影できているのでありがたいです。

――義時は涙するシーンが多いイメージですが。

そうですね。第20話くらいまでは現場でうるっとしたり、涙したりした場合には、それをそのまま出してやってきている部分はあるかもしれないです。ただ、いろんなことがこの先起きていく中で、義時の涙も枯れていくというか、涙なんか流している場合ではない状況にはなっていきます。第20話くらいまで義時は、20代前半なので、頭で考えるよりも感情が先走ってしまう部分はあるので、他のキャストさんや演出家からいただいたものをそのまま出していこうとしていた部分はあります。

――義時は何かを成し遂げるタイプではないと思うのですが、役作りで意識したことを教えてください。

実際、義時は自ら前に出る人ではなく、心の奥底では「早く伊豆に帰って米の勘定をしたい」と思っていて、僕としてはそれが一番面白いところだなと感じています。それが、みんなに「どうする、どうする」と言われてきた結果、自分が動かなければいけなくなってきて、いろんな人の間で右往左往しなければいけないという立場になっていったと思います。その部分においては、自分自身も、基本的に意見は持ち込まずに、周りのみんなのやること、やりたいお芝居を受けていくという作業が、蓄積すると自分(義時)というキャラクターができてくるのかなと思って撮影に臨んでいます。