また、そんな南雲の気持ちとは裏腹に周囲の人間は盛り上がっている様子。山住はもちろんのこと、定年退職に伴い野球部の顧問・監督を離れざるを得なくなってしまった横田宗典(生瀬勝久)、学校のためにと動く校長・丹羽慎吾(小泉孝太郎)が説得を続ける。
そして、そこに加わるのが一癖も二癖もある地元の大地主・犬塚樹生(小日向文世)。地元の産業を支える名家であり先祖代々の大地主、かつ中沢演じる孫の犬塚翔を溺愛し、翔の野球を応援するため、空き地に「犬塚ドリームグラウンド」を作ってしまうほどの愛と財力と権力を持ち合わせたキャラクターだ。
“大地主”=頭が固そうなスーツ姿の堅物といった人物が登場しそうだが、小日向の出演が決まった際のビジュアルや、公式ホームページの満面の笑みをご覧いただきたい。なんとも愛らしい“大地主”だろう。第1話でも、南雲が顧問を拒んでいると知ると「なんで?やろうよ。こっから甲子園行こ」とノリノリ。二言目には「翔くん、翔くん」と孫への愛を爆発させ、小日向曰く“ダメなおじいちゃん”っぷりを発揮して南雲や山住を振り回していくのだが、どこか憎めない。そして、ニコニコ笑顔でたまに発する過激な言葉にも笑わされるのであった。
そんな個性豊かなキャラクターたちの強い押しもあり、南雲はなし崩し的に野球部の手伝いを始めることに。
実力派、個性派ぞろいの役者たちが登場する中、今作で注目したいのが球児役のキャストたち。1人1人のキャラクターが立っているのはもちろんだが、それを演技力だけでなく野球の実力も兼ね備えた彼らが、演技と自然体の両方でそれぞれの役を魅力的に演じていく。
犬塚翔役の中沢、根室知廣役の兵頭、日沖役の菅生、野原舜役の奥野が「本当に部活そのもの」「ひたすら一生懸命野球をやっていて、それを撮っていただいているという感覚」とインタビューで語っており、だからこそその真剣さ、必死さが画面からひしひしと伝わってくる。
また、球児キャストたちの本格的な野球シーンをさらに迫力あるものにするため、野球シーンの一部をCloverWorksがアニメーションで制作。「高校生」「野球」「甲子園」というワードだけでも青春のキラキラを感じさせるのに、このアニメーションの演出、そして終盤の良いタイミングで流れるSuperflyの主題歌がドラマ内の“エモさ”を増幅させていた。
物語が進むにつれて、登場時の自信のなさもそれぞれの成長により変化していき、球児たち個人個人の物語が描かれていくことで、球児を演じるキャスト陣の中に推しが見つかることは間違いないだろう。
本作は「ドリームヒューマンエンターテインメント」。ただのスポーツドラマでも、ヒューマンドラマでもない。しかし、スポーツあり、テンポの良い会話劇あり、ちょっとした考察もあり…野球好き、スポーツ好きではなくても楽しめるエンターテインメント要素満載の作品だった。
試写終了後、武井は「オーディションの頃とは表情がまったく違いました。野球をこれまでやってきた子もほとんど素人の子もいろいろな子が集まっていると思いますが、みんなが映像の中で1つのチームとして戦っていく姿を見て、これからたくさんの方がこの作品を見て元気づけられて、みんながこのドラマをきっかけにスターになっていくような輝きを感じました」と、オーディションを勝ち抜いて今作の役を掴んだ球児キャストたちと、39歳でデビューしてから芸能界で生き残るために頑張ってきた自身の気持ちを重ねて熱くコメント。
武井と同じくこの日、初めて初回を視聴した球児キャストたちも、声を出して笑ったり、涙を浮かべたりと終始、興奮した様子で笑顔の溢れる試写会となった。
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