鈴木亮平“南雲”の中の眠っていた野球熱を黒木華“山住”が呼び起こす<下剋上球児>

2023/10/16 15:05 配信

ドラマ レビュー

野球部に関わるようになり、南雲の生活に変化が生じ始める


南雲は元高校球児だったが、静岡県の県大会の決勝で負けてしまい、甲子園には出場できなかった。その時の監督・賀門(松平健)は、相手の4番打者を全打席敬遠するなど、勝つために手段を選ばない考えを持っていて、それに反発して自分たちのやりたいようにやった結果が決勝戦での敗退。その賀門は現在、三重県下一の野球強豪校・星葉高校野球部の監督を務めていて、南雲はばったり遭遇してしまう。

越山高校では野球をやっていたことを隠していた南雲だったが、高校野球マニアと言えるくらいの知識を持つ山住は気づいてしまった。南雲が元高校球児で、静岡県大会の決勝で敗れた過去があることを。横浜にいた時には、野球部に深く関われなかったということもあり、越山高校で野球部部長になったことでかなり気合が入っている山住。その情熱が南雲を動かした。「この子たちの力になってやってくれませんか?」と頼む山住、「どうせだったら監督やってよ」と言う横田に、南雲は「日沖(菅生新樹)たち3年生が引退するまでだったら」と答え、固い握手を交わすのだった。

スポ根だけでなく、登場人物それぞれのドラマが描かれていく


弱小野球部が成長して強くなっていく姿を描く物語ではあるが、”スポ根もの”だけではないのが本作の魅力。南雲もケガなどの挫折を味わってきていて、現在もまだ抑えていることがある雰囲気が感じられる。山住も環境を変えたことで心機一転、新たなことにチャレンジしようとしている。

生徒たちも同じ。幽霊部員だらけで廃部寸前になっても一人で練習を続けてきた生徒もいれば、強豪校から来てほしいという誘いを受けながらも受験で失敗して越山高校に来た生徒もいる。

南雲だけでなく、登場人物それぞれが何かを抱えながら今を生きている。これから明かされていくであろう過去やそれぞれの背景、さまざまな要素がおり混ざっているからこその“ドリームヒューマンエンターテインメント”の今後の展開に注目したい。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

※このドラマは「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)にインスピレーションを受け企画されたが、登場する人物・学校・団体名・あらすじはすべてフィクションです。

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