長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は記念すべき連載100回目! 特別企画として、城戸さんがこれまでに視聴した番組の中から”TVerアワード”を選出します。
ありがたいもので、この『テレビお久しぶり』もついに連載100回目を迎える。これもひとえに皆様のおかげです。晩年は、「お爺ちゃんはテレビジョンの連載を100週間やったんだよ」と近所の小学生に吹聴して回ることにしよう。100週間も連続でエッセイを書いたのだ。簡単にできることじゃないんだよ、君も作文の授業は嫌だろう、とも言って回ろう。
さて、上京しておよそ7年間まったくテレビを見ていなかった私にとって、テレビ番組を見る生活というのは、確かに様々な刺激をもたらした。まずもって、「さあ、楽しんでください!」と飾り付けのされたコンテンツが、私にとってはもはや新鮮とすら言えたのだ。例えば、なにかとテレビと比較されるYouTubeのコンテンツ(いわゆるYouTuberの動画)は、より個人的だ。飾り付けと言っても動画編集によるものがほとんどであり、美術という概念がほとんど存在せず、あくまでも演者の等身大の魅力が打ち出される。対するテレビは、やっぱりゴージャスだ。スタジオには様々な装飾が施され、カメラも複数。スターである演者に”等身大の魅力”を感じるようなことも少ない。客観的で庶民的。もちろんどちらが優れているといった話ではなく、このふたつのメディアには、それぞれの特色というものがあり、7年もYouTubeばかり見ていた私にとって、テレビ番組の懐かしさは、むしろ新鮮さとして映ったのである。私のように、テレビ番組をほとんど見なくなったという人は多いだろうが、これを機に見てみるのはいかがだろう。誰が見ても面白いようにできているし、今の時代の雰囲気というものを感じ取れる。テレビをつけたらやっている、というリアルタイム性も素晴らしい。私はもっぱらTVerで見ているのですが……。
ということで、今回は連載100回記念を祝して、個人的なTVerアワードを開催したいと思う。この連載の中で、私が最も好きだった番組を発表させていただきたい。3位、2位、大賞、そして特別賞と、僭越ながら順位をつけさせていただきます。
いきなり人気番組で大変申し訳ないのだが、『月曜から夜ふかし』はやはり外せないだろう。私が7年ぶりにテレビを見始めて、全体的にテンポがとても速くなっている印象を受けたのだが、その速さを象徴するような番組である。あの街頭インタビューの編集術はよそじゃ見たことがなく、番組の色として定着している。あらゆる意味で、令和の番組だと個人的には位置付けている。それにしても、”令和人間集”とはなかなか洒落た言い回しを用いている。我ながら恐縮だが、確かに”令和人間集”という他はない番組だ。
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#40/令和人間集
またしても超人気番組だが、やはり圧倒的な面白さ。面白いテレビ番組は何かと問われれば間違いなくモヤさまである。さまぁ~ずや田中瞳アナの魅力はもちろんのこと、何よりも出来事の乱れ撃ち。出来事が起こる、起こる、起こる……。今さらモヤさまをオススメするのもなんだか馬鹿らしいのだが、私のようにほとんど見たことがないという人もいるだろう。決して退屈しない番組、是非。
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#25/貫禄の散歩
#64/”人生で一番良かった散歩”が毎度映し出される…キング・オブ・テレビ
堂々1位はやはり『バナナマン日村が歩く! ウォーキングのひむ太郎』。好きすぎて4回も取り上げている。とにかく大好き。街ブラ番組ではなく、あくまでウォーキング番組。日村はせっせこせっせこ、色んなものを目撃しては素通りしていく。街が生きているのだ。日村に負けず劣らず、街にも躍動感がある。この魅力はやはり見てもらわなきゃ伝わらないだろう。超オススメ。是非!
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#10/日村大好きな筆者が見た「ウォーキングのひむ太郎」
#14/思い出話が全部面白い…「ウォーキングのひむ太郎」下北沢回が最高
#46/日村とバカリズムの思い出話はずいぶん尊い
#81/クリスマス大好き
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