三谷幸喜が主宰する劇団・東京サンシャインボーイズによる新作舞台が30年ぶりに上演されることになり、7月11日に都内で行われた製作発表会見に三谷の他、演出補の福島三郎氏、出演者の相島一之、阿南健治、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、宮地雅子、吉田羊が登壇した。
1983年に三谷を中心に旗揚げされ、小劇場界とは一線を画した良質な喜劇を中心に話題作を上演し、「最もチケットのとれない劇団」と言われるほどの人気劇団に急成長した東京サンシャインボーイズ。
しかし、1994年に「東京サンシャインボーイズの『罠』」を最後に「30年の充電」を発表。2009年にホームグラウンドだった劇場・シアタートップスの閉館イベントで「returns」を12日間だけ上演し、「これより15年間の休憩に入ります」というアナウンスで幕を下ろしていた。
そして2024年、その言葉通り三谷書き下ろしの完全新作公演で東京サンシャインボーイズのメンバーたちが再結集。「returns」にゲストとして参加した吉田も“劇団研究生”として参加する。
三谷は、30年前の充電発表の理由を聞かれると「なんとなく覚えているのは、劇団として上り調子で、みんな俳優として売れていった時に、僕はみんなのマネージメントはできないと。脚本家だし、演出はやるかもしれないけど、さすがにマネジャーは無理だと。じゃあ、今一番売れている時に解散しちゃって、みんな別の事務所に入れていただいて、各々頑張ってもらおうと」と明かす。
そして、30年前の解散公演のパンフレット裏面に掲載された“30年後の次回公演”の告知を公開。タイトルは「リア玉」とあったが、三谷は「大々的に発表したんですが、先に申し上げておきますと、今回は『リア玉』は上演いたしません。ちょっと玉の制作に時間がかかって間に合わないってことが分かったので」と笑いを誘う。
その後、30年ぶりの新作舞台「蒙古が襲来」のタイトルを発表すると、「僕は劇団を辞めた後、何本か時代劇を書かせていただいて、時代劇にいきたいなと。群像劇であり、コメディーであり、時代劇ということで、こんな作品をやろうと思いました」と作品について話し始める。
「元寇を舞台にしたお芝居でございます。鎌倉時代です。蒙古がやってくるその日の朝、まだ何も知らない九州の漁村が舞台。そこで繰り広げられるアットホームなコメディー。それ以上はまだ考えてないんですけども、なんとなくですけれども、すごい傑作になるような気がします」と、どこまで本気か分からないコメントでキャスト、報道陣を笑わせた。
さらに、「リア玉」の告知に掲載されたキャスト一覧を見ながら「これだけのメンバーが30年たってもちゃんとみんな役者で頑張っているって、やっぱりすごいことだなと思うんですよ」と感慨深げ。
続けて「(15年前の公演では)いつものメンバーだけでやると過去を振り返るだけになっちゃって面白くないなと思ったんで、なるべく新鮮な、誰も知らない女優さんを1人入れようじゃないかっていうことで、吉田羊さんを抜てきさせていただいて。みんなで『頑張れよ』なんて言っていたんですけど、あっという間に追い越されまして」と、まだ無名だった吉田を起用したことを振り返る。
「今回もぜひ劇団として参加していただきたいと思ったんですけど、まだ劇団としても今回2回目になるので“研究生”という形で」と経緯を説明し、「口紅の赤い研究生。(研究生なので新作舞台では)ほとんど出ないと思います」と吉田をいじった。
また、2002年5月24日に他界した伊藤俊人さんについては、15年前の公演は声の出演となったが、今作では「別な形で」と登場を匂わせた。