――バナナマンのお2人がよく「『アキハバラ@DEEP』に出てた人(生田斗真、星野源、バナナマンほか)は、その後全員売れた」とおっしゃっているように、大根作品に出演して注目を集めて、その後ブレイクを果たした役者さんはたくさんいますよね。大根さんは、キャスティングについてどんなこだわりがあるのでしょうか?
「僕は、物を作る才能はないけど、人の才能を見る才能はあると思っていて(笑)。普段から、“今が旬”みたいな人をチェックするよりも、『この人は何かあるぞ、これからきっと世に出てくるぞ』っていうアンテナは張るようにはしてますね。
バナナマンは、『30minutes』(2004年テレビ東京系)に出てもらってたときから、『あ、この人たち売れるな』って思ってました。芝居も上手いし、もちろん面白いし。エンターテイナーとしてのポテンシャルがすごい2人だなと。『週刊真木よう子』(2008年テレビ東京系)は、(真木)よう子ちゃんがまだ世に出始めたばかりだったんですけど、間違いなくトップ女優になるなとワクワクしながら撮影したのを覚えています。
あと、既に売れっ子でも、その人の本来の魅力を再発掘するのも好きですね。『モテキ』の映画に出てくれた(長澤)まさみちゃんなんか、まさにそんな感じで。僕は当時、『みんな長澤まさみの撮り方が分かってない!』って腹が立ってたんですよね(笑)」
――魅力を再発掘するという意味では、『ハロー張りネズミ』の森田剛さんも今、ドラマファンからあらためて注目を集めています。
「剛は『演技者。』でも2本出てもらってるんですけど、当時からすごく上手かったですよ。ネガティブなキャラクターをこんなに魅力的に演じられる役者は、ジャニーズの中には…というか、普通の役者でもなかなかいないんじゃないかと思ってました。まぁ、ネガティブな役は、映画の『ヒメアノ~ル』(2016年)とかで、もう散々やってきたので、『張りネズミ』ではまたちょっと違った森田剛をお見せしたつもりなんですけど」
――大根作品は、劇伴音楽もまた素晴らしいと思うんですが。
「確かに、こだわりはかなりありますね。僕はどの作品でも、いつも脚本より先に音楽をどうしようかと考えるんです。作品において音楽は空気みたいなものだと思うので。でも、普通はドラマの演出家って、テーマ曲を自分で決めたり、ミュージシャンにメール送ったりはしないらしいですね(笑)」
――最近は映画監督としても活躍されている大根さんですが、ドラマと映画で、作り方は違うのでしょうか?
「ドラマとか映画とか、あんまり分けて考えてないかもしれませんね。もっと言えば、ゴールデンとか深夜とかも関係ないし。唯一意識しているのは、自分が“作りたいもの”よりも、自分が“観客や視聴者として見たいもの”を、ということですかね」
――では最後に、テレビ、映画に関わらず、大根さんが今後作ってみたい作品は? 今温めている企画などはあるのでしょうか。
「僕は音楽が好きなので、音楽の要素が強い映画やドラマをいっぱい作ってきましたけど、これまでプレイヤーを描いたことがないので、アマチュアバンドの話をちょっとやってみたいなと思っていて。あとは、ミュージシャン崩れの介護士が主人公の企画も1本あります」
――ちなみに大根作品のファンとしては、大河ドラマや朝ドラを大根さんがやったら面白いだろうな、などと夢想してしまうのですが…。
「NHKの!? ないですよ!(笑) まぁ、企画の中身という意味でも、放送枠という意味でも、今まで行ったことがない場所に行きたいなとは思ってるんですけど。とにかく、常にポップなものを作り続けたい、という意識はありますね」
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