思いがけない誘い「セッションしましょう」
つんく♂が放射線治療のため活動休止を発表したとき、すぐにTOKIOから寄せ書きの色紙が届いた。色紙の真ん中には「頑張ってください」でも「応援してます」でもなく、大きく「頑張ろう!」と書かれていた。それが、つんく♂の胸に響いた。
「この言葉の前には『一緒に』とか、そんな意味があるよな。他人事ではなく、自分のことのように考えてくれているんだな」。この言葉がつんく♂の心の支えになった。
また、手術後に開催したホームパーティーで、TOKIOから「一緒に『花唄』セッションしましょう」と呼び掛けられ、つんく♂自身も飛び入りで一緒に演奏に加わった。
「その瞬間、忘れていた何かを思い出しましたね。学生のとき、音楽が好きで、楽器を抱えるように寝ていたあのころの感覚を。音楽の原点を思い出した瞬間でした」とつんく♂。この出来事をきっかけに、音楽への情熱が再び湧き上がってきたという。今、「僕は歌声を失ってしまったけれども十分幸せです。不便だけど不憫ではありません」と言葉をつづるその表情は、明るくすがすがしい。
そして今、つんく♂は前を向いている。インタビューの終わりに「学校でダンスや歌、さらに公立の小学校の勉強もできたり英語や中国語も学びながら体育、美術などすべてが学べる街を作りたい、作るべきだと思っています」と壮大な構想も披露。
「K-POP人気が高まる中、日本のエンタメ業界は10歳未満からやらないと勝てないと思っているんです。韓国では子どものころからレッスンを積み、プロの道へと進みます。対して日本は18歳前後からスタートするのが一般的。エンタメの各分野のスペシャリストたちとか経済的な成功者の話も聞けるような、バランス力が高いエンタメ力を高める仕組みを作りたいです」と力強く夢を語った。
番組のエンディングで、林先生は「声を失った状態というのは大変な苦難であることは間違いないですけど、自分だけの努力ではなくて、いろんな人との出会いがあって、いろんな人の力を借りて、今こういうふうにやれているっていうことを、もう一度お伝えした方がいいかなと」とコメント。つんく♂が音楽を通じてさまざまな人と出会い、その出会いを大切にしたから今があると伝えて締めくくった。
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発売日: 2004/02/17