その「満足できない」という気持ちはバンド全体にも強くあるという。今年2月に初の日本武道館公演を成功させても、その気持ちは衰えない。
せと「日本武道館が決まったことで、『日本武道館アーティストだよね』っていう見られ方になるので、プレッシャーや不安はすごくありました。それで『今の演奏力じゃダメだ』って思って、それまでふわっと練習してたのを、『何が足りてないか』って深く考えるようになって。そこで頭の使い方が変わったような気がしてます。昔より演奏に強い興味が出てきたので、最近プレーすることがより楽しいんですね。特に秋澤とはリズム隊っていうところもあってよく演奏面の話をします。できることが増えた時とか、ステップアップできてる手応えがあると充実感を感じます」
秋澤「やっぱりライブで演奏するのは楽しいし、その分すごく悩むこともあります。一方曲作りっていうのは、ある意味リスナー感覚でアイディアが出てきたりするのが楽しい。自分たちを客観視できたりもするし。だから僕としては違う意味での充実感がありますね。元々メロディーに添うベースがすごく好きで、最初はあまり意識してなかったんですが、あるときから『結局俺ってメロディーが好きなんだ。歌の後ろで弾いているベースが好きなんだな』って自覚して。その気持ちも含めて、やっぱり日本武道館が決まったぐらいから、プレイヤーとしてもっと色々勉強しないとなっていう意識が出てきたんです。それまでよく分からずやってたことに改めて向き合ってみたり。そういうことで年々楽しくなってきた感じがしています」
せと「そもそものライブの一番の目標は自分たちが楽しむことなんですよね。自分たちが楽しまないとお客さんに楽しんでもらうなんて無理やなって思ってるんで」
石原「たまに『今日は現実のことを忘れさせてあげるよ』みたいなことを言うアーティストもいますけど、俺らのライブって俺らが一番いろんなことを忘れてるよね?(笑)」
せと「『忘れさせてあげる』じゃなくて、私たちも楽しんで忘れてるから、みんなも楽しんでほしいっていう感じだよね」
取材・文=小松香里
収録曲●なつやすみ/シンデレラボーイ/リスポーン/わけあって/君がいない/
週末グルーミー/東京/sugar/いつもの帰り道(Bonus Track)
写真左からせとゆいか(Dr)、石原慎也(Vo,G)、秋澤和貴(B)。2013年、西日本各地出身のメンバーが大阪で結成。メンバーチェンジを経て2016年MASH A&Rのオーディションでグランプリを受賞。2019年大阪城野外音楽堂、東京・日比谷野外音楽堂でワンマンライブを開催。2021年2月には日本武道館ワンマンライブを開催。その模様が収録されたBlu-ray/DVD「『send for you』2021.2.5 日本武道館」が現在発売中。9/29(水)から「Saucy Dogワンマンライブ 全国ドッグラン!! “今度こそ、はじめてのホールツアー!”」を開催する。
公式HP
https://saucydog.jp/