“いじられ役”を楽しむ佐久間宣行、人生初の食レポも
プロデューサーとしては「鬼才」でも、演者としては「いじられる」のが佐久間Pの魅力だ。裏方から演者になった人は過去何人か思い浮かぶが、演者になっても比較的人をいじったり、自身の考えを押し通したりという人が多かったように思う。それに比べて佐久間Pはラジオなどでもリスナーにバンバンいじられており、この番組でも勝手知ったる構成作家の元、いじられ役を大いに楽しんでいた。
人生初の食レポでは、経験豊富で手練れの平子に圧倒的差をつけられ惨敗。キャラクターの濃いフラダンスの先生の前では腰ミノをつけて踊らされ、学生時代の思い出のアパレル店では高額アロハを買わされる。演者の苦労を身をもって経験する佐久間Pを、普段はいじられ側の平子がいじる構図が微笑ましい。
しかし根っこは鬼才プロデューサー。この番組のコンセプトである「いわきの人・モノを魅力的にプロデュースする」場面ではつい熱が入る。
惣菜大賞日本一となったスーパーマルトのおにぎりについては「知名度を上げるため、東京のテレビ局も食いつく採算度外視の超高級食材おにぎりを作る」、オーナーがドイツで修行したらしいという噂が広まっているものの実は埼玉で修行しただけのバウムクーヘンには「むしろ埼玉修行をアピールした“正直バウムクーヘン”にしてはどうか」など、しっかりと真面目にプロデュースするのはさすが。
こうして様々な人や店を訪ねる二人だが、登場するいわきの人々は意外と予定調和には動かない。段取りガン無視でアグレッシブに前に出てくるフラダンス講師、「直前までドクターストップがかかっていて実はやりたくない」というカラーコーン顎乗せ世界一のパフォーマー、ずっと店をやめたいと思っているが妻が怖くてやめられない創業54年の老舗焼きカツ店の主人など、各地で様々なハプニングが起こる。
当初は地方局の思いつきコンセプトで始まったこの番組だが、さすが鬼才の総合演出、いわきの魅力はしっかりと伝わった。演者の二人も久方ぶりの故郷再発見旅で終始楽しそうだったのが印象的だ。
ひとまず今回4週シリーズが放送され、評判が良ければ第2弾、第3弾もあるかもしれないとのこと。番組で訪れたハワイアンタロットの店での占い結果が本当なら、きっと近いうちにその日は来るだろう。次は同じいわき出身のゴー☆ジャスやあかつがゲストとして合流するのかもと想像しつつ待ちたい。