小栗旬が主演を務める日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)。同作は、1973年に刊行された小松左京の名作「日本沈没」を大きくアレンジ。オリジナルキャラクターで、2023年の東京を舞台に、“沈没”という目に見えない危機が迫る中、「見いだしていく希望」をテーマに物語を描く。
世帯平均視聴率が同番組で過去最高の16.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した第5話(11月14日放送)では、恐れていた関東沈没が始まり、椎名(杏)をかばった天海(小栗)が負傷。そんな中、天海の元妻・香織(比嘉愛未)と娘、椎名の母・和子(宮崎美子)が乗った避難バスがトンネル崩落事故に巻き込まれたという情報を得た天海と椎名が事故現場へ向かい、被災の現実に直面する様子が描かれた。
今回、同作でプロデューサーを務める東仲恵吾氏にインタビューを実施。前・後編の2回に分けて掲載する。後編では、作品にリアリティーを出すためにこだわった点、天海と椎名の今後の関係性、居酒屋の店員を演じる乃木坂46の与田祐希についてなど、話を聞いた。
――今作にリアリティーを出すためにこだわった点や苦労した点はありますか。
台本を作る上で、人間関係と事象を混ぜていくという点に苦労しました。まず、地震のメカニズムに関しては、日本の地震学の第一人者で、小松左京さんの作品が大好きな山岡耕春先生に入っていただきました。先生とお話しする中で、日本沈没は実際にはそう簡単に起こらないとのことでしたが、今の環境の変化を含めて、パーセンテージとしては1%に満たないけど、起こる可能性があるというレトリックを作ってくださいというお話をして構築していきました。
そして、この回ではこういうことを起こしたい、人物関係はこうしていきたいというのを脚本家さんと整理をした上で、山岡先生に相談したのですが、「これだったら起こり得る。これだったら行き過ぎだよ」という柔軟なご意見を頂きながらうまく人物関係と事象を織り交ぜて、リアリティーを表現することができたと思います。
――撮影に関してはいかがでしょうか。
実際にこういう事って起きたことがないので、関東の一部が沈んでしまうときに、世の中がどんな状況になるのか想像が出来なかったので、とても苦労しました。
危機対策の先生方と話して一つ一つのシーンを構築したり、各所の知見を持っている方々と集まって、こういう状況になったらここら辺はどういう風景になるんだろうということをお話ししたり、それをイラストで書き起こしたりして、適宜現場で演者さんに共有してイメージしながら撮影しました。
――脚本は撮影が始まる段階で全話完成されていたんですか?
撮影は2020年の10月の中旬くらいに始まったんですが、その段階では4話くらいまでしか出来ていなくて、5話の初稿は出来ていたんですが、5話に関してはひと月くらい撮影をしていく中でほぼ固まっていた原稿から風呂敷を返すように全部考え直してもう一度作り直したという経緯がありました。
天海を無敵のヒーローではなくて、リーダーとして描きたいと考える中、5話というのが、これまで国民を助けたいという大義を持って動いていた天海が、自分が一国民として被災者になった時に、被災するとどういう気持ちになるのかを知ることができる大事な回だなと思ったんです。小栗さん含め制作陣と話し合う中で、そこをフォーカスして描き直したいという気持ちになり、再構築し直しました。
――第5話では、天海と椎名が力を合わせて行動する様子も印象的でしたが、今後二人の関係性に変化は生まれるのでしょうか。
天海と椎名は、お互いに大義を持つ仲間として心を一つにしていると思うんですが、究極の危機を前にしてそういう大義だけではなく、お互いに人間として、場合によっては男女としても惹かれ合うということがあります。
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