芸歴20年「愛される先輩」は笑顔で後輩を受け入れる
この番組に「愛」を感じるのは、もう中学生が「愛される先輩」であることも大きいだろう。もう中学生は今年で芸歴20年。実はけっこうベテランなのだ。もう中学生にとって、シソンヌ長谷川と銀シャリ橋本は同じ事務所の後輩にあたる(ノブコブ吉村は1年先輩)。
長谷川も橋本も、もう中学生を「もう中さん」と呼び、先輩相手に「いいかげんにしてくださいよ」という嘆きも、「いいかげんにしろよ」という苛立ちも、遠慮することなく放っていく。それをニコニコと受け入れ、安心してボケ続けるもう中。その関係性は見ていてとても心地良い。
収録が終盤になるほど、ツッコミたちは皆ヘトヘトになっていく。ノブコブ吉村は戸惑いながらも「最近あぐらをかいていた。足りなかった自分に気づいた」と己を振り返り、銀シャリ橋本は「パソコンを長時間使うと熱くなるあの感じ」とぼんやりする。もう中学生のモンスター的なボケしろが、ツッコミ芸人たちの臨界点を引き出していく。
でも、番組の放送時間は20分なので、見ているこちらは「そろそろお腹が膨れてきた」というところで終わるのだ。もう中学生は20分がちょうどいい。腹8分目が保証された「おグッズ!」で、過剰なボケと過剰なツッコミのマリアージュをぜひ体感してほしい。
文=井上マサキ