『M-1』は「優勝したとしても出続けたい」…背景にある感謝「『M-1』に育ててもらった」
――今年も「M-1」に出場されています。「M-1」で結果を出してブレイクした後、M-1から撤退するコンビも多い中で挑戦を続ける理由は何ですか。
渡辺:マヂカルラブリーを後ろから見たあの光景が忘れられないんです。だから、出るからには優勝したい。優勝して終わりにしたいんです。
長谷川:僕らの場合、仮に優勝したとしても、その翌年以降も出続けても面白いのかなとも考えています。僕の「M-1」ラストイヤーは56歳で、出場資格がまだ当分あるわけですから。還暦手前で決勝の舞台に上がって、審査員全員が年下だったら面白いですよね(笑)。それに「M-1」って、大会期間中は芸人がみんなソワソワする一種のお祭りみたいなものなんです。熱く燃える人たちが集まる楽しいイベントなので、できる限り、この盛り上がりの中に参加させてもらいたいという思いもあります。
渡辺:すごいバイタリティですよね。雅紀さんは、見た目はおじさんですけど、中身は子どもなんですよ(笑)。
――なるほど(笑)。年齢を重ねても新鮮な気持ちで「M-1」に臨めているのは、遅咲きゆえのメリットと言えるかもしれませんね。
渡辺:ただ、若手には「早く売れたほうがいいよ」と言いたいです。年を取ると体中痛いし…。痛くない状態でネタをやれるのが羨ましい(笑)。
長谷川:僕も年齢が年齢なんで、隆と同じようにガタがきてるんですよ。つい最近もネタ中にぎっくり腰やっちゃって…。それでシップ貼って、コルセット巻いて。ハッハハハ!
――そんな状態なのに「M-1」のお祭り騒ぎの中に居続けたいと思うのはすごいですね…!
長谷川:やっぱり参加するのが義務ってわけじゃないけど、僕らは「M-1」に育ててもらって、「M-1」のおかげで今こうしてお仕事を貰えているわけだから。
渡辺:それはめちゃめちゃ思います。
長谷川:だから身体が動く限りは出続けたいんです。
――そもそも「M-1」におけるコンビ結成歴の制限は、企画者の島田紳助さんが、長年売れない漫才師に辞めるきっかけを与えるために設けたものでもありました。お二人の活躍は紳助さんの理念からは外れているともいえると思うのですが、これについてどう考えますか。
渡辺:いや~、申し訳ないとしか言いようがないです(笑)。芸歴を重ねて再結成した僕らみたいなコンビが「M-1」に出ることに対して、「フェアじゃない」と感じる人もいるわけですし。ただ、コンビを結成して漫才がモノになるまではそれなりに時間がかかるんです。だから、当初「M-1」の出場資格が結成から10年だったところから、「結成から満15年以内」に拡大したことには、ちゃんと意味があるとも思うんですよね。
長谷川:たしかに、僕らも「M-1」の決勝に進出するまでコンビ結成から9年、大会に参加し始めてから6年もかかってるしね。あと、もし、紳助師匠が僕らのことを知っていたとしたら、どう思っているのかをちょっと聞いてみたいです。
渡辺:めちゃくちゃ怒ってたらどうする?
長谷川:可能性はあるよ、「そういうことじゃない」って怒られるかもしれない(笑)。
文、写真=こじへい