かが屋の魅力を最大限引き出した「ミラクルボーイズ」
2010年代、テレビに出る芸人はいわゆる「平場」でのトークが出来ないとダメと言われてきた。そのため、お笑い賞レースで結果を残しているにもかかわらず、トークが苦手でテレビ界では売れっ子になれなかった芸人は大勢いる。特にコントを主戦場としている芸人は、このギャップに苦しむことが多かった。かが屋は生粋のコント職人であり、テレビで求められるスキルとのギャップにかなり苦しんでいるのが見て取れた。
そんな状況を変えたのが「有吉の壁」(日本テレビ系)だ。かつての「内村プロデュース」(テレビ朝日系)などのように若手芸人が様々な場所で大喜利を繰り広げる番組だが、ひとひねりされているのは、キャラを演じることで大喜利に答えていくというスタイル。これによりコント職人でも「テレビだから」とモードを変えることなく笑いをとりに行けるようになった。
では、そんなテレビ界の動きを踏まえ、どうすればかが屋の魅力を最大限引き出した冠番組が作れるか。その答えが架空キャラを演じながらの街ブラというトリッキーなアイディアだったのだと思う。
根っこは人見知りの二人が素のまま街ブラをするのはなかなか苦しいが、架空の設定がベースであれば、それは街行く親切そうなおばさんにさえ声をかけられないヘタレキャラになる。撮影許可をとりに行き意気消沈で帰ってくるが、実はOKでしたというテレビ的なお約束のくだりも、テレビバラエティに憧れるYouTuberがそれをやっているとなれば、見え方は違ってくる。
番組はまだ始まったばかりだが、今後も二人がショウちん・バビロンとしてミラクルを起こし続けることを期待してやまない。