所要時間はうまく行けば15分、沼にハマると2時間
――中には似せるのが難しい人もいると思うのですが、モノマネする、しないはどういった基準で?
イチキ:まずは自分でできそうかどうかと、やっぱり「この人、よく見るな」「みんなが知ってそうだな」という人ですかね。たまにその人のファンの方から「この人もお誕生日です」と教えてもらうことがあって…「それはやってくださいってことかな…」と、バタバタしながらモノマネすることもあります(笑)。
――1つのモノマネにどのくらい時間が掛かるのでしょうか?
イチキ:うまくいくと15分くらいでできるんですけど、沼にハマるともう、2時間くらいかかるときもありますね…。「近いけど、何か違うな」というときがあって。1日1個ならいいんですけど、15人とかやる日にハマってしまうと…。
――もしかして、当日に撮影しているんですか?
イチキ:なるべくその日にやるようにしています。毎日投稿してるんで、ストックしてもすぐ尽きちゃうんですよ(笑)。なので、できるだけ当日の朝にやるようにはしています。「モノマネやらなきゃ」っていうので起きてます(笑)。
――今までで一番カンタンに完成したモノマネは誰ですか?
イチキ:昔からレパートリーでやっていた石橋貴明さんや六角精児さん、井上陽水さんとかですね。5分以内…というか、多分1分くらいでできます。
――では、難航したのは?
イチキ:アニメのキャラクターもやってるんですけど、ドラえもん一家…ドラえもんとドラミちゃんかもしれません。全身タイツを着たら簡単なんですけど、タイツではやりたくないなと。で、タオルで縛って顔を真っ白にして。ドラえもんもいろいろな表情があるので、どれにしようかなと迷いつつでした。
――それはもしかして、Instagramのアイコンにされている…。
イチキ:そうです。愛着があるというか、ドラえもん好きなので(笑)。人物でいえば、海外の方は難しいです。ベッカムなんかはお手上げで諦めました。今やったらできるかもしれませんが、当時はまだ技術がなくて。
1個のカツラでも、角度を変えれば別の可能性が見えてくる
――カツラや小道具の絶妙なチープさも気になります。
イチキ:自分で買ったのと、提供してもらったものもあって。カツラは多分、30個くらいあります。神保町花月という吉本の劇場がありまして(現在は「神保町よしもと漫才劇場」)、そこが芝居小屋じゃなくなるタイミングで「もし欲しいなら」と言っていただいて、衣装やカツラを大量に入手しました。
――とはいえ、あれだけの数をこなすとなると、使いまわす必要も出てきそうですね。
イチキ:そうですね。でも、1個のカツラでも角度を変えれば別の可能性が見えてくるんですよ。逆さにしたら毛並みが変わったり、重ねて使ったり…。ある程度は手持ちのカツラでどうにかなりますが、「このパターンの髪の人、いっぱいいるな」と思うものは買います。今は広瀬すずさんくらいの、肩まで届く長さのカツラがないので、買い足そうかと思っています。
――これまで誕生日モノマネをアップし続けて、どんな反響がありましたか?
イチキ:芸人仲間は結構見てくれていて、その人の誕生日にやると「うれしい」「やってくれてありがとう」と言われることも多いです。でも逆に、忘れて怒られるっていうパターンもあって「俺だけやってくれなかったんだ」っていう…(笑)。意外と気を使います。
――最近特にモノマネ芸人さんが脚光を浴びていますが、モノマネ芸はどのように楽しむといいでしょうか。
イチキ:今評価されているJPくんやモリタク!くんは“完コピ”タイプですよね。その完成度を楽しむのもアリですし、コロッケさんのようにその人を誇張して、やらなそうなことをやったりするのも楽しいと思います。僕はどちらかというとコロッケさんタイプだと思うんですけど。
モノマネは、“クセ”を見るのが面白いんですよ。「確かに、そういうことやってるな」という。原口(あきまさ)さんがやる東野(幸治)さんの「ありますし~」とか。モノマネをする方も、そういうクセを見つけていくのが楽しいです。
――イチキップリンさんは、お誕生日モノマネを続けた成果は何か感じていますか?
イチキ:自信になったというのはありますね。毎日やればできるんだなと…父親からは急に「継続は力なり」っていうLINEも入ってきました(笑)。技術も上がったと思いますし、お誕生日モノマネかるたとかも作れたので、やってて良かったなと思います。