約40人の番組専属スタッフが全国を日々リサーチ、「物語を掘れたかがどうかが番組の生命線」
中京テレビと制作会社のスタッフ約40名が、一部の例外を除いて番組専属として動いている。その分店の発掘に注力できる。全国各地の行きたい土地へメンバーが散らばり、気になるお店を訪れてリサーチを重ねる毎日だ。
初回放送で登場した茨城県の中華料理店を切り盛りする「鈴子ママ」のインパクトは凄まじかった。値引きサービスを遠慮する客を前に「騒ぐんじゃねえ!」と大騒ぎ。ディレクターが撮影してきた映像を編集ルームで初めて見た時は、演出を担当した竹内さんも「こんな“おもてなし”見たことない」と驚きっぱなしだったという。
今だから話せる制作秘話を尋ねると、「全部オンエアされてしまっているので、“秘話”が特にないんですよね……」と加藤さん。野暮な質問だった。
番組スタッフが弟子入りしたり、孫のような存在として愛されたり、アルバイトをしたり。オンエアでは“店主とディレクターの一線を越えた”関係性が、たくさんの笑いと感動を生んできた。当然ながらカメラが回っていない時も、その関係性に変化はない。
「放送が終わったらサヨナラするのではなく、『近くに来たからご飯食べに来ました〜』となるべく顔を出すようにしています。僕らにとってはこれがずっと当たり前のことなんです。
お店にはそれぞれの良さや物語があります。そこにディレクターやADさんがちゃんと気づけたか、物語を掘れたのか。これが番組の生命線ではないでしょうか」(加藤さん)
ロングソフトクリームの回の英断
テレビ業界で話題となった「ロングソフトクリーム」の回について。1時間の番組を丸ごとソフトクリームネタだけで構成することに、迷いはなかったのだろうか?
「もちろん、判断を間違えたらとんでもない1時間になるぞという恐怖はありました」(加藤さん)
「でも担当ディレクターが撮影してきたVTRを観ていたら、面白くていつの間にか120分経過していた。だからいけるんじゃないかと踏み切りました」(竹内さん)
スタジオ収録の4時間ほど前に、ソフトクリームのネタのみで勝負すると決断。結果的にTwitterなどでも大きな話題となった。