テレビ番組に精通するライターの前川ヤスタカが、地方番組に注目し、レビューしていく。今回はサガテレビで放送されている番組「どぶろっくの一物」(毎週土曜夜6:00-)を取り上げる。
土曜日の夜6時放送の「どぶろっくの一物」
色々な価値観がアップデートされる令和の時代。にもかかわらず下ネタ満載の歌ネタ一本で芸能界を生き抜いているどぶろっく。素晴らしい歌唱力とキング・オブ・コント優勝者の肩書がありながら、東京キー局では深夜以外の時間帯で見ることはまれである。
そんなどぶろっくが彼らの地元佐賀で冠番組を持ち、そのオンエア時間が土曜日の夜6時と聞いて驚いた。夏場だとまだ明るいこんな時間にどぶろっくがテレビで見られるとは。サガテレビ「どぶろっくの一物(いちもつ)」のことである。
アポなしで佐賀の街を歩く街ブラロケ番組
タイトルが実に彼ららしいが、一応「一物(いちもつ)」にはこの番組独自の定義があり「ナンバーワンやオンリーワンの物」のことを指す。そして内容は芸人地方冠番組の王道、街ブラロケ番組である。まったくアポなしで佐賀の街を歩き、そこで出会う人々から「一物」=「どぶイチ」を紹介してもらうというコンセプトだ。
だが、記憶にある限りにおいて、正直どぶろっくが街ブラをしたり食レポをしたりという場面を見たことがない。おそらくあっても数えるほどだろう。しかも土曜夜6時。健全なファミリーが夕食を食べながら見ていても全くおかしくない時間だ。そんな未知数な要素満載にもかかわらず、地元出身のスターに佐賀の魅力を紹介してもらおうとオファーしたスタッフの志は素晴らしい。