3歳との共演で見せた“父親”玉木宏の顔
――今回、龍の家の前に男の子・リュウ(渡辺雄大)が捨てられていたことで“隠し子騒動”に発展します。小さいお子さんがいる現場はいかがでしたか?
玉木:そうですね。撮影では「動物と子どもには気を付けろ」とよく言われるんですが(笑)、本当によくできたお子さんで、当時3歳でよく頑張ってくれたなと思っています。テストでできなくても本番ではできてしまうんです。純粋に頑張ってくれたことがうれしかったですね。
「動物と子どもには気を付けろ」は思うようにいかないからという意味ですが、思うようにいかないからこそ、意図していない素晴らしいものが生まれることもあるんです。彼自身も、3歳ながら演じることをどこかで楽しいと思っているのかもしれないし、今回の撮影が彼の記憶に残っていたらいいなと思います。
――玉木さんも一人の父親として思うところがあったのではないでしょうか?
玉木:父親の目線で見ると、この年齢で、この世界で生きることをよく引き受けてくれたな、頑張っているなと思います。自分の子どもで想像するとやっぱりありえないと思ってしまいます。
――お子さんが将来、俳優を目指すというのは?
玉木:基本的に勧めないです。一見すると派手な世界にも思えますが、コツコツと地道な作業を続けるものが撮影だと思っていますし、皆さんに名前が知られるような存在になるのは、本当に宝くじに当たるようなものだと思っているんです。僕自身もたまたまここにいるだけで、絶対にそうなるとは限らない。大変だということを分かった上で俳優になりたいのならいいと思いますけど。
――川口さんは今作で母親という役割でもありますが、家庭への憧れはありますか?
川口:私自身が子どもなので、まだ想像はできないです。子どもは大好きなので、家庭での様子をリュウのお母さんに聞いたりしていました。たぶん本人は「なんでここにいるんだろう?」と思っていると思うんですけど(笑)。それでも一つの作品を全うしてくれたし、頑張っている姿を近くで見られたのはすごくうれしかったです。
玉木宏、川口春奈は「度胸がついてきたんじゃないかな」
――最後に、ドラマ・映画と夫婦役を演じたお互いの印象を改めてお伺いできますか?
玉木:川口さんとは「幕末高校生」という作品で共演したんですが、「極主夫道」のドラマで会った時に「すごい大人になったなぁ」と感じました。ドラマから映画はそこまで期間が空いたわけではないので、大きく印象が変わったことはないですが、どんどん話しやすくなっている感覚はあります。
大きな舞台もたくさん経験されているし、紅白歌合戦の司会もやっていましたよね。「すごいなぁ」と思います。僕は紅白の司会をやることはないと思うので(笑)。どんどん度胸がついてきたんじゃないかなと感じていますし、信頼できる人です。
川口:玉木さんは、今までお仕事させていただいた俳優さんの中で、史上一番優しいです。本当に良い人で、大好きです。10年近く前に「幕末高校生」でご一緒した時には、まだそこまでお話をできなかったんですが、ドラマの「極主夫道」で改めてお会いしてそう感じました。
玉木さんって一見怖そうじゃないですか(笑)。だけど、そんなこと全くない。たくさん話を聞いていただいて、いろいろと教えていただきました。怒ったところを見たことがないし、何でも受け入れてくださる。だからこそ、現場は円滑に、穏やかになっています。それが作品の世界観にも必ずつながっていると思うので、この作品は本当に楽しくできましたし、玉木さんには本当に感謝しています。
◆取材・文=山田健史