テレビ熊本で月1回放送されているA.B.C-Zのゴールデン初冠番組「あっぱれ!A.B.C-Z」(毎月第2火曜夜7:00-8:00)。「天晴れ」の“天”をとって「えびてん」の愛称を持つ本番組は、「A.B.C-Zが熊本県内各地を訪れ、視聴者に「あっぱれ!」と言ってもらえるよう、体当たりでさまざまなことに挑戦する」バラエティ。ジャニーズアイドルがローカル局で冠番組を持つのはまれな例だが、2021年4月の番組放送開始から1年以上が過ぎ、5月14日の放送回では熊本大学の入学式に5人がサプライズゲスト出演するなど、番組はすっかり地域に根付いている様子だ。テレビ熊本・高津孝幸プロデューサーにその軌跡をインタビューすると、何事にも全力投球するA.B.C-Zの飾らない魅力が見えてきた。
令和2年7月豪雨に端を発した、A.B.C-Zと熊本の絆
A.B.C-Zと熊本との関係は、2020年10月、メンバーの塚田僚一がテレビ熊本の長寿情報番組「若っ人ランド」にリモートでゲスト出演したことから始まる。同年7月の豪雨で大きな被害を受けた地域・人吉のVTRを見た塚田は、「熊本のために力になりたい」という想いを抱いた。
続いて2020年11月には、「熊本復興支援 未来へエール」に河合郁人と橋本良亮がゲスト出演し、A.B.C-Zの楽曲「頑張れ友よ」を応援歌としてサプライズ披露。この場で「若っ人ランド」へのA.B.C-Zのレギュラー出演も決まった。高津Pは、「一緒にお仕事をする中で、非常に熱心に熊本のことを知ろうとしてくれて、愛してくれるA.B.C-Zのことを僕自身が好きになりました」と語る。
「僕らは地方局なので、やっぱり東京からゲストが来るとなると若干身構えるんですけれども、A.B.C-Zの皆さんは飾らず謙虚で、我々の話をちゃんと真剣に聞いてくれる。また企画に対して『できません』と言うことがなくて、進んで『やってみたい』『やりたい』と言ってくれるんです。だから僕らとしてもどんどん提案できるし、一緒にいいものを作れるとわかりました」(高津P、以下同)
こうして築かれた信頼関係が、地震や豪雨で傷ついた熊本を元気にすることを目指す冠番組「あっぱれ!A.B.C-Z」へとつながった。
「地方からでも全国に発信していける」と手ごたえ
ローカル局、それも出身地などのゆかりがない局でジャニーズタレントが冠番組を持つのは珍しく、テレビ熊本への反響は大きかった。放送開始時には、視聴者から過去にない数のメールが届いたという。
「放送開始当時、まだ地方局は見逃し配信をあまりやっていませんでした。視聴者の方から『うちの県でも見たい』『友達にも見せたいから配信してほしい』という声をたくさんいただき、TVerなどでの見逃し配信を開始しました」
番組は全国で視聴され、ロケ地への「聖地巡礼」を行うファンもいる。公式SNSに投稿されるメンバーのコメント動画が、テレビ熊本社屋のエントランスで撮影されていることもあるため、その場所を見に来るファンもいるそうだ。高津Pは「地方からでも十分全国に発信していけるな、と思いました。見逃し配信があってよかった」と手ごたえを語る。
同時に、「えびてん」は決してA.B.C-Zファンだけが楽しんでいる番組ではない。その証拠に、街ロケをしていると若者だけではなく、これまでA.B.C-Zを知らなかった年配者からも声をかけられるという。
「ファミリーで見られるような番組にしたいと思っています。元々2016年4月の熊本地震から5年という節目に、熊本を一緒に盛り上げて応援していくという形で始めた番組。ファン以外の方も楽しめる番組でないと、その目的が果たせない」