「自分なりの面白い」にかける熱量が神回を生む
「神回だけ見せます!」における「神回」に明確な定義はない。しかし配信されている5本を視聴していくと、それぞれに納得できる「神回らしさ」があると感じる。中西さんと越山さんに、お気に入りの「神回」の紹介と、そもそも「神回」とは何だと思うかを尋ねた。
「神回とは、見て心が動く映像だと思います。その意味でいうと、#5の『ブラウンさん』は、萩本さんが語るどのエピソードを聞いても、自分に置き換えてはっとさせられる言葉がつまっていました。この機会に触れることができてよかったです」(中西さん)
「神回とは『熱量』だと思うんです。たとえば#1の『アナザースカイ』は、佐久間さんと伊集院さんも『すごいものを見た』とおっしゃっていた通り、出川さんのリアクション芸への熱量が伝わってくる。それが元々落語家で、人から笑われる芸というものを良しとされなかった芸人である伊集院さんの胸に刺さるというのもよかった。#3の『たりらリラ〜ン』は、『ベタドラマ』の作り手の熱量がすごくて、これが埋もれてしまうのはもったいない。とにかく他とは違うアプローチで作ってやろう、『自分なりの面白い』を作ってやる!という熱量を感じられるのが神回じゃないか。リサーチ段階で他にもいろいろな映像を見て、それをひしひしと感じました。ネットはどうしても同じ企画が出てくるところがあると思うので、改めてテレビっていろんなものがあって面白いなと思いましたね」(越山さん)
確かに、YouTubeやTikTokなどネット上の動画コンテンツでは、あえて「バズった」他者の企画に類似した企画をかぶせて行うことで、クリエイターの属人的な個性を示していくような傾向も見られるのに対し、テレビではかぶりが許されないため、企画自体の独自性を追求する意識が強い。そしてその姿勢こそが多彩な「神回」アーカイブを生み、テレビ局というコンテンツホルダーの強さにつながるといえよう。
現在「神回だけ見せます!」は第2シーズンを制作中で、7月下旬には配信開始予定とのこと。今度はどんな「神回」を見られるのか楽しみだ。