料理対決番組、冬の時代。だが実は「M-1」もそうだった
――とは言え、今は料理対決番組は冬の時代。勝算はあるのでしょうか。
「実は『M-1』がスタートした時期も“ネタ番組は数字が取れない”と言われていたんですよ。ですがご存知の通り、皆さまのおかげでここまで大きくなれました。それがなぜかといえば、やっぱり根底が「ガチ」の真剣勝負だから。『CHEF-1』をどう受け止めていただけるか分かりませんが、我々は『M-1』起ち上げ当時と同様の挑戦をしようとしています」
――なるほど。では番組の立ち位置について伺いますが、グルメ番組はまずは料理研究家などの専門家がレシピを伝える教養系から始まり、『料理の鉄人』で、料理の“理”の部分をクローズアップしたアカデミックな魅せ方が作られました。その後、『帰れま10』など、ファミリーレストランのような“身近さ”が流行り、現在は寺門ジモンさんのような“専門性”、または自宅で気軽に作れる料理レシピ番組がウケるという流れがあるかと思います。『CHEF-1』はどんな潮流を作っていきたいのでしょうか?
「まずは先述した通り、選手の裏側部分をドキュメンタリーとして、料理人が主人公のドラマを味わっていただくこと。あと、実は同番組の総合演出が『料理の鉄人』を作った田中経一さんなんです。さらに言えば、今回の審査員の方々は40代前半の方が多く、『料理の鉄人』を見て料理人に憧れ、ここまで上り詰めた世代の方々。解説も、咀嚼回数の重要性、エゾシカは何歳の雌が一番いい、料理の温度帯の話などなど、料理の“理”の部分をアカデミックに語られています。『CHEF-1』はアカデミックの回帰、そして料理人の背景の“生”の部分もどう魅せられるかというハイブリッド的な番組にしたいと思っています。20年前の『料理の鉄人』のように、『CHEF-1』を見て、料理人を目指す若い人が増えるとうれしいですね。」
――地方の料理人がこの番組で有名になる。「M-1」決勝進出者がブレイクするように、新たな料理界のスターが生まれたり、そうするとその地方へ食べに行く方々も出てきそうですよね。これは料理界の話だけでなく、地域振興にもつながりそうです。
「それも目指しています。日本全国の料理人を、料理業界を盛り上げたいですし、ここから料理人のスターが新たに出現したら、こんなにうれしいことはありません」
――最後に、「CHEF-1」の一番の見どころは何でしょうか。
「名店で修業をしても、その名店の味にしかならない。そこを超えるパワーと勇気とセンスがなければ『CHEF-1』では勝てません。そんな彼らが起こす奇跡、輝きを是非、リアルタイムで見てみてください!」
■取材・文/衣輪晋一(メディア研究家)