慎太郎「大丈夫です、湊さんが泣き止むまで俺がそばにいますから」
慎太郎は電話で湊が佐久間と話せたことを確認すると、そっちに行っていいかと尋ねてくる。湊があしらおうとすると、湊の背に慎太郎の影が映る。湊が振り向くと雨に濡れた慎太郎が立っていた。慎太郎を見た湊は緊張が切れたように涙をあふれさせて、「シン、なんでいんだよ」と涙声で言う。慎太郎は湊が前みたいに一人で泣いていたら嫌だからと穏やかに答える。湊のつらさと安堵、慎太郎の優しさが沁みてこちらも泣けてくる。
湊が「俺は別に泣いてなんか…泣いてなんかねぇよ」と言葉だけ強がりながら嗚咽すると、慎太郎はたまりかねたようにガバッと大きく湊を抱きしめて「頑張りましたね、湊さん」と語りかける。湊はさらに泣いてしまい、「大丈夫です、湊さんが泣き止むまで俺がそばにいますから」とさらに慎太郎は湊を慰める。逆光に包まれる二人が美しい。見ているこちらも涙があふれて、頬を伝う涙で心も洗われるかのよう。
慎太郎はそのまま湊の頭を優しく撫で、湊は顔を崩して泣きじゃくる。外からの淡い光が差すコインランドリーで、泣く湊を包み込むように抱きかかえる慎太郎が聖母かと錯覚するほど、尊いという言葉がピッタリのシーンであった。慎太郎演じる西垣は年下ながらも度量の広い頼もしさを感じさせ、湊扮(ふん)する草川は母性本能をくすぐるかわいらしさといとおしさで見る者の心をわし掴みにした。
◆文=ザテレビジョンドラマ部